キラキラネームの改名報告が話題になっている。山梨県甲府市の高校生、赤池肇さん(18)は改名前の名前が「王子様」。母親が「自分にとって唯一無二の存在、私にとっての王子様」という意味での命名だが、本人にとっては苦労の連続だった。
甲府家庭裁判所に申請を行い、5日(2019年3月)に無事名前変更の許可が下りた。赤池さんはツイッターで「ハァァーイ!!!!!名前変更の許可が下りました!!!!!!!!」と報告、ツイートは3月11日時点で26万以上の「いいね」を集めている。
人生をリセットし、はじめからやり直すという意味で「肇」に
「病院などで名前を放送してもらったときに周りがざわついてしまい、恥ずかしい気持ちになる」「自己紹介をしたときに笑われてしまうことがある」と裁判所に日常生活の支障を申し立てた赤池さん。山梨放送の取材でも「ショッピングモールに行った時、顔も知らない人から『あれ、赤池王子様じゃない』と笑われた」と苦労を語った。
その一方で同い年の人たちは温かく受け入れてくれたという。赤池さんは「俺の友達の名誉のためにいっておくけど、いじめは一切なかった」とツイートしている。
中学3年の時に漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」で改名ができることを知った赤池さん。しかし、高校在学中に改名すると手続きが大変だろうと大学進学のタイミングで改名を申請した。新しい名前は両親に了承を得た上でお坊さんに相談、人生をリセットして新しく始めるという意味で「はじめ」を選んだ。
「肇」の漢字は経済学者で「貧乏物語」の著者、河上肇からとった。赤池さんは取材に対し、「(キラキラネームは)辛い思いをすることがあると思う。そういう人たちが改名できることを伝えたかった。親にはよく考えて名前をつけてもらいたい」と語った。
過去、奇抜な名前では1994年に子供の名前を「悪魔」で届けようとした騒ぎも起きている。2012年には新語・流行語大賞に「キラキラネーム」がノミネートされた。命名研究家の牧野恭仁雄さんは、個性の表現に悩んだ人が他人と違う名前で個性を表現しようとして、キラキラネームが徐々に増えたと分析する。
司会の加藤浩次「覚えてもらえやすいというメリットもあるが、当人にすれば嫌」
近藤春菜(お笑いタレント)「子供は自分(母親)のものではない。一個人として考えないと。肇さんは立派に育った」
杉山愛(元プロテニス選手)「当人が気に入っていればいいけれど、辛い経験はトラウマになる」
橋本五郎(読売新聞特別編集委員)「名前はオーソドックスな方がいい、私は娘の名前を国学者の賀茂真淵の文章からとったが、説明する時にいちいちそこから。私は五郎という名前が安易で不満だったが、母親から『将来政治家になるには簡単な名前がいい』と言われた。今になって思えばこっちの方がよかった」