週刊文春で多くの若い女性に「性暴力」をふるっていたことを告発された「DAYS JAPAN」元編集長で写真家の広河隆一(75)が、「創」に手記を寄せている。そこにこういう記述がある。
<誰にも会わない新年を迎えていた時、鏡に映る自分の顔を見て、その醜さにぎょっとした。他人から自分がどう見えているか、思い知った瞬間だった。(中略)
鏡に映る年取った男が、若い娘を口説き落とそうと一生懸命になる姿は、想像するだに不気味で、同時に悲しい姿だった。(中略)さらにそのとき、私の立場や力が、他人からはどう見えているのかも、考え始めた。
そしてそれは同時に、男である私にとって「性暴力」という問題が少しずつ見え始めた瞬間でもあった>
スーパーゼネコントップの大林組で、OB訪問をしてきた女子大生を自宅に連れ込み、わいせつ行為を働いたとして、2月18日(2019年)に社員の容疑者が逮捕された(編注:朝日新聞報道などによると、19年3月に東京地検は容疑者を不起訴処分にした)。
就職を熱望する女子大生を甘い餌で誘い、こうしたことをしている大林組の社員は同容疑者だけではないと、週刊文春は新入社員の斉藤絵美(24=仮名)の告発を掲載している。
彼女が就活をしていたのは2年前。大学で土木を学び、スーパーゼネコンへの就職が希望だった。就職情報サイト「マイナビ」を通じて大林組にエントリーすると、大学のOBでリクルーターという男から電話があり、ホテルメトロポリタン仙台の喫茶店で会ったそうだ。
出された名刺には「○○工事事務所所長 高橋修一(仮名)」とあり、54歳、長年リクルーターとして大学のセミナーに出ていたと話した。
その日は食事をおごってもらって別れた。その後、採用試験を受け、一次試験を通過し、役員面接を受ける目前に、高橋から電話があり、「もう内定が決まったようなものだから、お祝いしよう」といってきたそうだ。斉藤は指定校推薦制度で受けていたから、「リクルーターの印象で合否が左右される」といわれているため、誘いを受けたという。その際、「会うときは私服で来て」と要求したそうだ。違和感を抱いたが、その通りにして有名な焼肉屋へと向かった。
個室で並んで座り、高橋は「本部にいっておいた」「これで落すことはないから」といい、飲めない酒を勧められて酔いが回ってきた彼女を口説き始めたそうである。気がついたら高橋が泊まっているホテルの部屋に入っていて、<「最初は戸惑ったのですが、ずいぶん酔っていたこともあり、受け入れてしまった・・・。避妊はされませんでした」(斉藤)>
同僚がいうには、高橋は土木技術に関する特許取得を主導するなど実績を積み上げ、次期支店長候補といわれているそうだ。内定はもらった彼女だが、入社までにも3、4回ラブホなどで関係を持ったという。誘いを断ると内定を取り消されるのではないかという不安を抱えていて、断れなかったそうだ。
入社してからは、高橋とは勤務地が違い、1度も会っていないが、社内で関係がバレているのではと心配になったことがあり、LINEメールを送ると、こんなメールが返ってきた。<「変な噂は社内ではマイナスなので、バレないようにシラを切って下さいね」>
週刊文春の取材に高橋は、肉体関係について否定することはなかったが、「本人がいない前では話せない」といい、「斉藤さんが意図的に私を貶めようとしている」と語っている。
大林組のコーポレート・コミュニケーション室は、本件については社内で事実関係を確認中だとし、事実だった場合は厳重に処分すると答えている。その回答の翌日、斉藤は人事部から呼び出され、人事部長から「高橋には妻子がいて、役職もある。失うものが多いんだ」「お世話になった会社ではなく、なぜ文春に話すのか。相談窓口があるだろう」と何度も問い詰められたそうである。
「女性が働きやすい会社」を標榜する企業の実態は、いまだにお家大事、男性社員中心の旧態然たる体質が残ったままなのだ。ここまで告発した彼女が、この会社に居続けることはかなり難しいのではないか。週刊文春は、これを掲載した以上、彼女のこれからを見続け、彼女が不利益を被らないよう、支えていく義務があると思う。
NHK朝ドラ「まんぷく」成功譚はウソ?チキンラーメン発明は番組モデルの安藤百福じゃなかった
NHKの朝ドラ「まんぷく」は高視聴率を保ったまま大団円を迎えそうだが、ここへきて、日清食品の「チキンラーメン」は安藤百福の発明ではなかったとFLASHが噛みついた。
同誌によると、安藤は20歳前後までを台湾で過ごしている。南部では戦前から揚げ麺をチキンのスープで食べる文化があり、戦後は食糧難だった日本にも輸入されていたという。
在日華僑のひとり、張國文は歯科技工士として日本に渡り、大阪・阿倍野で中華料理店を経営しながら、即席麺「長寿麺」をつくり上げたそうだ。これが1958年の春だった。日清食品の社史によると、「チキンラーメン」を発売したのは同じ年の8月。
長寿麺は50年代に始まった南極観測隊でも採用され、59年に発売された雑誌には「ヒマラヤ遠征隊 南極越冬隊御採用」という広告が掲載されている。
張は58年12月に「味付乾麺の製法」で特許を出願し、安藤側は翌年1月に「即席ラーメンの製造法」で出願しているという。さらに、張の特許が認められる直前に、日清食品は張の特許を2300万円(現在の貨幣価値でいうと3億円程になるそうだ)で買い取っているのである。誌面には、その際の契約書が載っている。もちろん日清食品側は長寿麺とチキンラーメンとは別物だと主張している。
東洋大学の藤本貴之教授は、<「NHKの連続テレビ小説で扱われた企業のイメージアップは計り知れません。フィクションであるにもかかわらず、エピソードが独り歩きするケースも少なくない。(中略)個人的には、公共放送のNHKが、視聴率がいいという理由だけで、実在の創業者がモデルのドラマを多発するべきではない>と話している。私もこの意見には同意する。
意外に知らない韓国 強気の背景「対日貿易額たった8%」「軍事費は日本とほぼ同じ」
「FACTFULNESS」(日経BP)という本が話題を呼んでいる。データや事実に基づき世界を読み解く習慣というような意味で、著者のハンス・ロスリングがつくった言葉である。
著者は、どんなに立派な人でも、彼が出した13の質問に、全問はおろか、正解率は平均で7%程度で、チンパンジーより劣っているという。たとえば、「世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったのでしょう?」という質問。Aは約2倍になった。Bはあまり変わっていない。Cは半分になった。
「世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子供はどれくらいいるでしょう?」は、Aは20%。Bは50%。Cは80%。「世界の平均寿命は現在およそ何歳でしょう?」は、Aは50歳。Bは60歳。Cは70歳。
2017年に14か国、1万2000人に行ったオンライン調査では、地球温暖化の質問を除くと、正解数は12問中たったの2問だったという。
先ほどの質問の正解は、C→C→Cである。著者は、確実に世界は豊かに、良い方向へ進んでいるのに、出されたデータを正確に把握していない人がなぜこれほど多いのかと疑問を投げかける。
詳しくは本を読んでもらうとして、ニューズウイーク日本版に日本人の韓国理解のファクトチエックという特集があるが、これも面白い。日本では、韓国は日本が重要な貿易相手国だから、これ以上反日を強めるのなら、対韓国貿易を減らしてしまえという"暴論"がまかり通る。しかし、韓国の貿易相手国は中国が圧倒的で、次がアメリカ、日本はわずか8%程度しかない。
韓国経済は日本と比べて脆弱だといわれるが、通貨危機を克服して以来、経常収支は黒字が続いている。2012年以降は、GDPに対する経常収支の割合が日本を上回り続けているのだ。
軍事力も韓国は貧弱なのか。2017年の軍事費は日本の9割になり、ドイツに肉薄しているのである。
大卒の給料は323万円、外国に住む韓国人は中国に次いで多い743万人で、そのうちの3分の1以上が北米で暮らしている。キャッシュレス比率は96%。慰安婦と徴用工問題にばかりこだわり続けると、近々、経済でも追い抜かれてしまう日が来るかもしれないのだ。
新元号にも安倍首相が口出し?「中国の古典からでなく国書で」私物化は天皇陛下、国民への背信
新元号が4月1日に発表される。週刊新潮によれば、元号案を検討する際に留意すべき6つの条件があるという。「国民の理想としてふさわしい意味」「漢字2字」「書きやすい」「読みやすい」「過去の元号やおくり名(追号)で未使用」「俗用されていない」ということだそうだ。
首相官邸では早くも絞り込みが始まっているといわれるが、今回の元号には安倍首相の意向が色濃く反映されるのではないかといわれているそうである。その一番大きなものは、最初の元号である大化から現在の平成までのうちで、出典が確認できるものは77あり、すべてが中国の古典(漢籍)からだが、これを安倍は、「新元号は日本で書かれた書物をもとにしたい」といっているのである。
だが、<「国書からよい意味を持つ漢字を抜き出すのは容易ではありませんでした。当時、国文学では『源氏物語』『徒然草』『枕草子』などが研究対象となることが多かったのですが、宮中の日常や恋愛、あるいは随想から有用な文字を選ぶのは非常に難しい。また企業名や商品名などで、国書出典の漢語の方が日本で俗用されている可能性が高いから大変です。俗用が後から判明すれば、皇室の尊厳にも傷がつきかねません」>と、昭和天皇ご不例のさなか、極秘で元号選定準備を進めていた、当時の内閣内政審議室長だった的場順三が語っている。
もし、国書由来の元号が誕生すれば、1400年近い中で初めてであり、「文字通り総理は歴史に名を残すことになる」(官邸関係者)そうだが、何もレガシーがつくれなかった安倍首相が、自分の名を残すために元号を決めるとすれば、天皇陛下はもちろんのこと、国民への背信行為といえよう。あってはならないことである。(文中敬称略)