80歳の女性が殺害された「アポ電」強盗 警視庁管内だけでも年間3万5千件の不審電話

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   先週末に新聞テレビが一斉に報じた「アポ電」強盗、オレオレ詐欺の進化系で、「いま、家に金があるかどうか」「家族構成」を言わせて、強盗を働く――東京都江東区で80歳の女性が殺害されたのが、この手口だ。

   「アポ電」とは「アポイントメント電話」を短くしたもの。元警視庁刑事の吉川祐二さんは「さぐりの電話。身内になりすまして、『家にいくらある?』『いくらなら用意できそう?』などと聞き出す。犯行予兆電話とも呼ばれている」という。

   2月28日(2019年)、東京都江東区のマンションで、一人暮らしの加藤邦子さん(80)が縛られ、殺害されているのが見つかった。加藤さんは「お金ありますか?という不審な電話があった」と話していた。

「いま1人?」「母さん1人よ。お父さん出かけてる」が危ない

   加藤さん宅では電話機コードが切断されたほか、インターホン本体が外され、なくなっていた。そして、防犯カメラには3人組の男が灰色の軽自動車で逃走する姿が映っていた。

   1月には渋谷区初台で、夫(93)と妻(86)が襲われる強盗傷害事件も起こった。夫婦は縛り上げられ、現金約2000万円と貴金属が奪われたが、事件の2日前に息子を装った「アポ電」があり、家にあった現金の額などを聞き出していた。渋谷区笹塚でも2月に「アポ電強盗」が起きた。

   「アポ電」などの不審電話は急増中で、警視庁調べでも、2016年の1万5010件から18年には3万4658件に倍増した。オレオレ電話と同様、家族を装う例が多いが、金と同時に家族構成や行動まで探りを入れてくる。

   ジャーナリストの多田文明氏は「聞き方が上手。貯金がいくらなどとストレートには聞かない。何気なく話をしながら聞きだす」という。

   「いま1人?」「母さん1人だよ。お父さん出かけている」――これは危ない。家族構成がわかる。「いまいくら用意できる?」――これにも答えてはいけない。また、詐欺だと見破った時でも、それで安心してはいけない。必ず警察に連絡すること、と多田氏はいう。警察も不審電話があったら通報を、と呼びかけている。

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文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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