あなたも「スマホ脳過労」?近ごろ物忘れやボーっとすることが多くなった・・・

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   スマホの使い過ぎでもの忘れがひどくなり、意欲も低下するという「脳過労」が増えているという。岐阜県のもの忘れ外来「おくむらメモリークリニック」の奥村歩院長は、これまでは高齢の患者がほとんどだったが、5年ほど前から「30代から50代の働き盛りの患者が全体の4割を占めるに至っている」と話す。

   脳には、ぼんやりしている時に働く「デフォルト・モード・ネットワーク」とーいう回路がある。脳の情報処理には入力、整理、出力の3つの段階があり、デフォルト・モード・ネットワークは入力された情報を整理する。しかし、ぼんやりすべき時にスマホを使いすぎると、情報の整理が行われないため、脳が「ゴミ屋敷」のような状態になり、入力(覚えること)や出力(話すことなど)に悪影響が及ぶと奥村医師は言う。

   ほかにも、多くの医師や研究者がスマホによる脳過労に警鐘を鳴らしている。東京脳神経センターの天野惠市医師はこの状態を「オーバーフロー脳」と名付け、韓国・高麗大学のソ・ヒョンソク教授は「デジタル認知症」と呼び、「スマホ依存で起こる異常が一時的なものか認知症の初期症状なのか検証すべき」と訴える。

スマホ利用長い子どもは成績低下

   ゲストの早稲田大学の枝川義邦教授はこう解説した。「ながらスマホはマルチタスクになりがちです。脳はマルチタスクが苦手なので、スマホによって脳にストレスがたまっていくのが脳過労の原因ではないのかと言われています」

   子供に深刻な影響があることを示唆するデータもある。仙台市の中学生の数学の学力とスマホの利用時間の関係を調べたら、学習時間には差がないにもかかわらず、スマホ利用の時間が長ければ長いほど平均点は下がっていた。

   キャスターの武田真一はちょっとの待ち時間でもスマホ、メイク時も会議中も疑問が浮かんだらすぐ検索と、スマホ依存の傾向がある。奥村医師作成の「脳過労危険度チェック」にトライしてみると、30項目中17項目にチェックが入った。20項目以上で危険度大、10項目以上で危険度中なので、武田は危険度大に近い状態だった。武田の前頭葉の血流の変化を検査すると、脳がはっきり働いていない状態にあることが疑われた。

依存症の疑いありの武田真一キャスター「デジタルデトックス」体験

   「ショックでした」という武田は、スマホ依存から脱却する「デジタルデトックス」を体験した。2泊3日の合宿で、山梨県・富士河口湖町のホテルに到着すると、スマホとタブレットを預ける。

   部屋で1人になった武田は退屈して得意のギターを弾いてみるが、すぐに飽きてしまう。持参した本も放り出した。結局やることがなくなり、23時に就寝。翌日は戸外で薪割り体験、続いてたき火。さらに地面に横たわって星空観賞。枝川教授は「脳を使わないようにして無心に体を動かし続けるのはすごくいいですね。炎のような揺らぎの状態を見ることは、デフォルト・モード・ネットワークを作動しやすくします」と評価した。

   武田の日記も紹介された。「時間は、埋めるためにあるのではない。ただ過ぎ行くままを感じていればいい」と、気持ちが大きく変化したようだった。デトックス体験後に脳の血流検査をしてみると、結果は大きく改善されていた。

   奥村医師はすぐできるデジタルデトックス方法を紹介した。「お風呂、トイレ、寝室にスマホを持ち込まない」「起きてすぐスマホをチェックしない」「食事中、会話中はスマホを控える」「検索する前に、自分の頭で1分間考える癖をつける」「ネットで調べ物をしたときは手書きでメモを取る」「皿洗いなど無心になれる単純作業を行う」「散歩やひなたぼっこを積極的に行う」「四季折々の食べ物や行事を大切にする」

   枝川教授は「デトックスといっても、スマホを使わないということではありません。メールがきてスマホを見るというのは、スマホを使うのではなく、スマホに使われている状態です。スマホに使われたらダメなんです。スマートフォンをスマートに使っていく意識を持てば、影響を少なくして行けると思います」とアドバイスした。

NHKクローズアップ現代+(2019年2月19日放送「"スマホ脳過労"記憶力や意欲が低下!?」)

文   バルバス
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