統計不正の当事者が語る「隠ぺい」と「虚偽報告」の連鎖 森友・加計疑惑と同じように逃げ切られてしまうのか

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安倍首相「私からはなんら指示をしていない」

   もう一つ、意図的な数字のごまかしがなかったのかという問題もある。毎月勤労統計は2015年に調査対象の事業所を入れ替えたが、同年3月に当時の総理大臣秘書官が厚生労働省から事前説明を受け、「問題意識」を伝えていたというのだ。

   「賃金に関する数値が高く出るように求めたのではないか」「すなわち、アベノミクスがうまくいっているように見せかけようとしたのではないか」という疑問が野党から出ている。

   「官邸主導の演出だ」という野党の追及に、安倍首相は「私からはなんら指示をしていない」と反論して平行線。当の元秘書官は「個人として考えだった」と強調し、野党は「示し合わせているように聞こえる」と猛反発する。官邸の圧力や官僚の忖度の言葉がちらつくうちに、与党内からは「こればかりをひきずって、ほかの問題を議論しなくていいのか」の声が持ち上がる。なにやら森友・加計疑惑と似たような構図になりはじめた。

   厚生労働省の特別監察委員会も当初はわずか1週間で調査を終え、しかも聞き取りを職員に丸投げしたり、幹部が同席したりというありさまだった。内輪で早く幕引きをしたかったのだ。政府与党が選挙への影響を恐れるたびに幕引き圧力が高まる。

   「行政の信頼回復に取り組まないといけない」(NHK社会部の松尾恵輔記者)、「本当に国民に向いているのか疑問だ。一刻も早く改善を」(武田真一キャスター)との声はあがるが、政府が現場の新旧担当者に「個人の責任」を語らせて逃げ切る展開までが踏襲されかねない。今そういう危険の真っただ中に、この統計不正問題はある。

NHKクローズアップ現代+(2019年2月18日放送「徹底検証 統計不正」)2019年2月18日(月)

文   あっちゃん
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