5年前に発覚した元妻の不倫で、過去の不倫相手に離婚慰謝料を請求できるのか――?この問題が争点になっている民事訴訟の判決がきょう19日(2019年2月)、最高裁で下される。
民法では不法行為による損害賠償請求権の期間の制限があり、「損害および加害者を知った時から3年間行使しないときは消滅する」とされている。今回の注目はずばり、「時効が成立しているか否か」。3年間の起点をどこにするかだ。
時効カウントダウンの始まりは、不倫発覚?離婚成立?
原告の男性は、妻の不倫に2010年5月には気付いていたが、子どものために結婚生活を続けていた。その後、2014年に妻が家を出て別居生活が始まり、2015年2月に調停で離婚が成立。元不倫相手の男性に慰謝料を請求する裁判を起こしたのは2015年11月だ。
元夫側の弁護士は、「慰謝料請求権は離婚調停が成立した2015年2月25日から初めて消滅時効が進行するもの」としていて、一審・二審では夫の言い分が認められた。一方、元不倫相手の弁護士は、起点は不倫が発覚した2010年5月からで、「すでに時効になっている」と主張する。
とくダネでは離婚弁護士の堀井亜生さんをスタジオに呼び、この裁判のケースを検証。
堀井さんによると、このケースのように、妻の不倫では夫が慰謝料を妻ではなく不倫相手に請求するケースが多く、夫の不倫では妻は夫に請求する場合が多いという。その理由は色々あるが男のプライドや「妻を信じたい」という気持ちもあるようだ。
40年前の夫の浮気の証拠を金庫で保管する妻
さて、きょうの最高裁が地裁・高裁の判決を支持した場合の影響は? 例えば、もし妻が40年前の夫の不倫をずっと根に持って80歳になって離婚を決意した場合、夫や不倫相手に慰謝料は請求できるのだろうか。
答えは「否」。民法上、20年以上たつと権利が消滅してしまうからだ。しかし堀井さんは「何十年前の不倫をずっと根にもってご高齢で相談に来るケースは、結構多いですよ」と話す。
キャスターの伊藤利尋「それ、どういうテンションでいらっしゃるんですか?ご高齢の方が『わたしの夫が、40年前に不倫したのが許せないんです!!(わなわな)』って...?」
堀井弁護士「40年間温めていたので、すごく重い気持ちでいらっしゃいます。40年前に集めた証拠を『ずっと金庫に入れてあったんです』と」
キャスターの山﨑夕貴「みなさん笑っていますけど、ひどい目に遭っていたら、40年じゃ忘れられないと思いますよ!」
司会の小倉智昭「まあとにかく、今日の最高裁の判決で一審・二審が覆った方がいいと思う人は不倫の経験があるってことだね」