東京・港区の「ゆりかもめ」日の出駅前の防潮扉に、スーツケースを持ち傘をさしているネズミの絵が描かれているのが見つかった。これが、世界的芸術家で、覆面アーティストのバンクシーの作品である可能性が高いという。
バンクシーは各地にゲリラ的に風刺画を描く謎のアーティストで、昨年10月(2018年)にはサザビーのオークションで作品の「風船と少女」が約1億5000万円で落札された。その直後に、額縁に仕掛けたシュレッダーで作品が裁断されたことでも話題になった。
日の出駅前にそのバンクシーらしき絵があるという情報は、昨年末に寄せられ、防潮扉を管理している東京都は16日(2019年1月)に、保全のため絵が描かれている部分を取り外した。小池百合子知事も現場を視察し、「まだ真贋は確かめていないですが、本物なら保全が必要かなと考えています」と語っている。
十数年前の型紙つかったスプレー作品
バンクシーに取材したこともあるライターの鈴木沓子さんは、「ほぼほぼバンクシーの作品」と言い、バンクシー作品に詳しい東京芸術大学の毛利嘉孝教授も「バンクシーの作品である可能性は高い」と話す。
鈴木沓子さんによると、バンクシーは1990年代後半から世界中でネズミをモチーフにした絵を描いていて、インスタグラムでパリのエッフェル塔付近に描かれた傘を持つネズミの絵を公開している。
山崎夕貴キャスター「東京都の担当者によりますと、作品はA4用紙くらいの大きさで、型紙を使用してスプレーで描かれたものと見られるということで、この点はこれまでのバンクシーの作品とよく似ています。絵の状態から十数年前に描かれたものではないかということです」
バンクシーの作品を取り上げたドキュメンタリー映画に、これとよく似た絵があり、山崎が映像を並べて見せた。「今回発見された絵と重ね合わせてみますと、ネズミだけでなく、絵の周囲のネジの位置までぴったりなんです」
中瀬ゆかり(「新潮社」出版部長)「そっくりですよね」
作品集の「東京 2003年」は逆向きのネズミ
本人が編集した作品集「Wall and Piece」にも同様の絵が収められている。その絵には「東京2003」と書かれているが、ネズミの向きが逆だ。写真を裏焼きした反転写真ではないかということで、写真集の絵を反転させて重ね合わせてみると、やはりピッタリとネジの位置まで合致した。
司会の小倉智昭「2003年ならデジタルではなく、フィルムだから裏焼きはできるよね」 ネズミだけでなく、周囲の地面の盛り上がり具合やアスファルトに入っているヒビの形も、まったく一致した。
伊藤利尋キャスター「十数年前に書かれた絵がようやく発見されたっということ?」
小倉「そうかもしれない。ところで、これが本物だったら、どのくらいの価値なの」
笠井信輔アナはボードを示しながら、「シュレッダーにかかったのは1億5000万しました。オークションで。同じような(サイズの)ネズミの場合、だいたい専門家によると7000万くらいするそうです」と伝えた。
【訂正】当初の記事本文末尾に「鈴木沓子さんによると約7000万円の価値があるという」とありましたが、番組では鈴木さん本人の発言はなく、笠井信輔アナウンサーが専門家の話として7000万円と紹介しましたので訂正します。