人材の墓場「明治大ラグビー」たった1年で日本一にした田中澄憲監督「イマドキ若者はこうして奮起させろ」

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   明治大ラクビー部が22年ぶりに日本一になった。就任1年目の田中澄憲監督は、精神論では動かないイマドキの若者たちが、どうしたら自発的にハードなトレーニングに取り組むようになるか、データで選手の能力向上などを分析して最強のチームワークを作り上げた。

   北島忠治監督のもと、1990年代の10年間で優勝5回という明大だったが。北島監督が1996年に亡くなってからは低迷が続き、有望選手を集めながら生かし切れず、人材の墓場と揶揄されたこともあった。田中監督は最後の優勝の時のメンバーで、サントリーからおととし(2017年)、ヘッドコーチとして明大に戻り、昨年4月に監督に就任した。

   田中監督は初めてのミーティングで前シーズンの慶応大戦の映像を見せ、繰り返し訴えたのが「勝つための意識改革」だった。「ピンチの場面で歩いている選手が何人もいたシーンなんです。ゲームに勝ちたければ絶対に歩かないですよね。日本一をマインドセットする心構えが一番大事だと、ミーティングで話しました。

   僕が日本一を目指すのではなく、学生が本気で目指さなかったらどれだけ練習してもきつい練習はできないと思ったんです」と田中監督は話した。

選手一人ひとりにGPS装着して運動量をデータ化

   監督の言葉に強い衝撃を受け、目を覚ましたのが4年生の福田健太主将(スクラムハーフ)だった。「トライされそうだからもういいやって、簡単にあきらめちゃっていました。個人が試合に出て満足しているだけで、チームとして本当に日本一になりたいという思いが部全体に浸透していなかったんだなと気が付きました」

   しかし、グラウンドで指導をはじめると、いまどきの若者が抱えるさまざまな課題が見えてきた。とくに目立ったのが、大事な場面での選手同士のコミュニケーション不足だった。

   田中監督は「練習中、本当におとなしいんです。ミスが起きても、そのまま終わってしまう。腹を割って話し合うことがない。相手が嫌な思いをするかもしれない、傷つくかもしれないと、そういう(遠慮している)部分があるのかなあ」と訝る。いま、91人の選手一人ひとりとメールを通して会話をしているという。

   精神論だけではなかなか動かない点にも田中監督は気を配る。「ロジカルなものがないとダメじゃないか。じゃあ、どうやって日本一になるのか、自分たちの強みは何か。それで勝っていくんだというものを、しっかり見せてあげないとなかなか動かない」

   たとえば、なぜ厳しい練習が必要かを、選手に理解させるために活用したのがGPSデータだった。選手各人に装着して、試合中の選手の運動量の推移がグラフで記録され、さらに全力で走った距離まで表示される。

   このデータをもとに、スタミナをつける練習では1.2倍の負荷をかけたランニングの練習メニューを設定して取り組んだ。1年後、ほぼ全員がこのメニューをクリアし、フィジカル面で飛躍的に向上したという。

文   モンブラン
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