引退した横綱・稀勢の里はきのう17日(2019年1月)、両国の国技館を訪れ挨拶回りをした。「スポーツニッポン」によると、館内を遠回りし、ファンが集まる中を50分間歩き、写真をせがまれると笑顔で応じたという。稀勢の里の父親・萩原貞彦さんは、その裏に長い葛藤の日々があったことを明かした。
「去年暮の31日(2018年12月)、チラッと来て、食事をして帰って行きました。相撲の話はほとんどしていません。迷いを生じさせてはいけないから、あえてその話はせずに言葉を飲み込んだ。明るく帰って行きました」
「ボロボロになってもやってもらいと思ってました」
迎えた初場所、稀勢の里は初日から3連敗したが、貞彦さんは2日目に逸ノ城戦で負けたとき胸騒ぎがしたという。「ちょっとこれは無理かなと。3日目も黒星だったが、とにかく1勝してほしいと。何とかしがみついて、ボロボロになってもやってもらいたいと思っていました。まだまだいろんな人に夢を与えてほしかったですよ」
引退会見前には電話がかかってきたという。「サバサバした声でした。2日目が終わった後に、出続けろと言えばよかったと、後悔しました」 会見を中継で見て、やはり泣いたという。「あれだけ支えられ、愛されたのは、一生に値するのではないかと思ったですね。十分ですよ」
春場所から荒磯親方として場内警備
稀勢の里は荒磯親方として部屋を興すことになるが、貞彦さんは「部屋を興すには女将さんが必要。普通の女性では付き合いにくいでしょう。気に入った人がいたら紹介してほしいと思ってます」と、息子の「嫁取り」に期待を寄せている。
司会の小倉智昭「苦しんでいる息子を見て、早く卒業してほしいと思うのではなく、もっと相撲を取り続けてほしいと思っていたんですね」
春場所からは、荒磯親方として日本相撲協会の指導普及部の所属となり、審判部に配属されるとみられる。親方1年目は場内警備を担当するのが通例だ。「警備の仕事だと、ジャンパー姿になるね。あれ、違和感あるんだよね」と言う小倉に、ミュージシャンのグローバーは「でも、そのジャンパー姿が見たくて満員御礼になるかもしれませんね」と笑った。