名古屋市内で昨年(2018年)開かれたコンサートで、購入したチッケットとは違う座席に座らされた全盲の女性が、主催者側を提訴した。主催者側に障害者を「お荷物扱い」にする姿勢がなかったか、岡安弥生レポーターが取材した。
訴えたのは、生まれつき両目が不自由な70代女性で、子どもが独立し、名古屋市内で一人暮らしをしている。女性が岡安に話した顛末はこうだ。
コンサートは名古屋市とCBCテレビが共催した「名古屋国際音楽祭」で、3か月前にチケットを予約し心待ちにしていた。座席は、良い音が聴けるようにと4階席の後部から2列目の中央だった。
会場に到着するとスタッフから「車椅子に乗ってください」と言われたが、女性が「ちょっと手を貸してもらえれば歩いていける」と言っても、聞いてもらえなかった。車椅子に乗せられ、案内された座席は4階席最後列の端だった。
女性は「私はアレ?と違和感を覚え、何度も自分の購入した座席に連れて行って欲しいと訴えたのですが、聞いてもらえませんでした」と話す。
さらに、スタッフからは「勝手に動かないように」と念押しされる始末だった。女性は「開演時間も迫り、他の人の迷惑も考え諦めましたが、良い気持ちはしないわね。悔しかった」という。
車椅子に乗せられ、スタッフからは「勝手に動くなと」
CBCテレビは「車椅子はNGという申し出はなかった」と女性と食い違う弁明をしているが、名古屋市は「歩ける方に車椅子を提供したこと自体が不適切だった」と反省する。
別の座席に案内したことについて、CBCテレビは「購入された座席は階段を1段降りなければならず、さらに中央の座席の両脇はすでに観客が座られており、目の不自由な女性にとって大変だろう」と判断したという。
コメンテーターの浜田敬子(「ビジネスインサイダージャパン」統括編集長)「障害を持った方とどう付き合うかは、その方は何ができ、何ができないか分からないので、まずコミュニケーションを取り聞くべきですよ。勝手に忖度し、気配りのつもりが、相手の思いと違ったりします」
玉川徹(テレビ朝日解説委員)「最優先すべきは、客が購入した座席に案内することでしょう。当たり前にことですよ」