市場が豊洲に移って最初の初競りとなった5日(2019年1月)、青森県大間産のクロマグロになんと、3億円超の値段がついた。これまでの最高値のほぼ2倍。落としたのは、「すしざんまい」チェーンの木村清社長。さすがに「ちょっとやりすぎちゃった」と本音も漏れた。
宿敵同士の意地の張り合いが思わぬ高値に
この日豊洲に並んだマグロは1295本。中で注目が、4日に水揚げされた278キロの大物。当然のように、「すしざんまい」と仲卸「やま幸」の競り合いとなった。「すしざんまい」は2012年から6年連続で最高値をつけていたが、昨年「やま幸」に敗れた。この意地の張り合いが、高値になった。
最終の値段は、3億3360万円。キロ当り120万円は1貫2万3000円。これを通常料金398円で提供するというのだから、いかにご祝儀とはいえ高すぎ。
木村社長は「私も困っている」と言いながらも、恒例の解体ショー、全国支店への発送を行なった。喜んだのは運良くありついた客で、「3億円マグロを食ったぞ」は、当分自慢できそうだ。
このマグロを釣り上げたのは藤枝亮一さん(64)。一本釣り専門で、値段を聞いて、「けたが違うと、何度も聞き返したよ」と大喜び。税金や漁連の手数料などを引くと、約1億7800万円の手取りになるという。
それにしてもなぜ3億円? 木村社長は「相手がいるから困っちゃう。やりすぎちゃった」という。競りが始まる前は「いいマグロを落とす。値段じゃないよ」なんて言っていたが、いざ始まるときれいごとは吹っ飛んだ。
リポーターの阿部祐二「耳を疑った。豊洲で初、平成最後というのもある。年末寒波でマグロが不漁だったこともあるが......」
橋本五郎(読売新聞特別編集委員)「3億なんてとんでもないという人もいるでしょうね。でもご祝儀だから、食べてみたい」