セクハラ、パワハラ、モラハラならぬ、カスハラをご存知だろうか。店員に対する客による常識を超えたクレームや暴言などの行為で、カスタマーハラスメントを略してカスハラ。悪質化がひどく、厚生労働省は今月14日(2018年12月)、カスハラに関する報告書をまとめるなど対策に乗り出した。
小売業やサービス業が加盟する労働組合団体の調査に、業界の7割以上が「カスハラを受けたことがある」と回答している。暴言(24.8%)、威嚇・脅迫(21.0%)、何回も同じクレーム(14.9%)などが多い。
自分が注文忘れても「商品が届かない。担当者は謝罪しろ」
ある外国系食品商社は、70代女性と長男から「ドライフルーツからプラスチックのような異物が出てきた」とクレームを受け、担当者が自宅を訪問すると、長男が「写真を撮ったから覚悟してください」とSNSでの拡散をほのめかす。異物を持ち帰って検査すると、歯の詰め物だったことが判明したが、結果を伝えられた女性は「私のものじゃない。作業員の歯を調べて」と要求する始末だ。
結局、作業員全員の歯を調べて該当しないことが明らかになったが、検査費用数十万円は会社が負担した。
ある通販会社は「栄養ドリンクのサンプルを注文したのに届かない」と40代男性からクレームを受けた。注文履歴がなかったため、改めて注文手続きをして発送したが、今度は担当者の対応について「本人から謝罪の言葉がほしい」と要求し、サンプルが届いた後は「総合カタログが入っていない」と電話で繰り返した。
文
キャンディ| 似顔絵 池田マコト