女子マラソンの元日本代表、原裕美子さん(36)の万引きは、「窃盗症」と呼ばれる病気だった。原さんは今年(2018年)2月、群馬県太田市で2度目の万引きで逮捕・起訴され、3日(2018年12月)に前橋地裁は「懲役1年、執行猶予4年」の判決を受けた。原さんは、「スッキリ」に、窃盗症の現実を語った。
「走るのは怒られないためだった」
判決後、原さんは記者会見して、「やめようと思ってもやめられない。自分ではコントロールできない」と、「窃盗症」の現実を告白した。医師によると、過度のストレスが原因で、多くは摂食障害から「窃盗症」になるという。圧倒的に女性が多いという。
原さんの場合は、マラソンでの体重管理の重圧だった。日に4?6回体重を計り、食事の制限が行われる中、摂食障害から食べ物への執着が強くなり、万引きをして、食べては吐き戻す日々。「怒られないためだった」という。
「窃盗症」を告白したことについては、「(裁判で)法的なけじめはついたが、社会の中では終わっていない。真実をきちんと伝えないといけないと決意した」「同じ苦しみを持つ人たちに、病気を克服していく姿を見ていただきたい」と話した。
原さんは、2005年の名古屋国際女子マラソンと07年の大阪国際女子マラソンで優勝したエースだった。しかし、摂食障害が始まっていた。最初の万引きは09年だったという。買い食いを防ぐため、財布を取り上げられていた。店に入って、あれもこれもと盗んでしまった。「食べたいだけだった」
コーチ、婚約者とのトラブルで泥沼に
その後、2010年には北海道マラソンで優勝。14年にはコーチと金銭トラブルを起こし、780万円を失った。他の被害者と一緒に解決したというが、この間に、数え切れないほど万引きをしたという。「信頼していた人に裏切られて、気持ちのやり場が万引きしかなかった」
17年には、婚約者と金銭のトラブルを起こし、7月に万引きで逮捕された。「窃盗症」と診断され、治療入院。11月に、「懲役1年、執行猶予3年」の判決を受けた。そして3か月後、2度目の万引き現行犯で捕まる。この時盗んだのは、キャンディーなど382円分。所持金は2万円ほどあった。
「金があるのに、なぜ盗んだのか」という加藤浩次キャスターの問いに、原さんは「わからない。自分が自分でないような」という。その後、「誰かに見張られているのでは」と、おびえて過ごしたという。
ロバート・キャンベル「アメリカでも、100万人以上の窃盗症がいるが、大半は女性。成績優秀な、志の高い人に多い」
加藤「窃盗症と窃盗との違いは?」
原さん「気持ちをコントロールできない。繰り返す。動機がはっきりしない。一番は、ストレス」。原さんは今、買い物を楽しめるようにまでなったという。
「スッキリ」は原さんに「被告」という肩書きを付けていた。執行猶予付きの有罪判決が出て、なお「被告」? なぜ素直に「原さん」と呼べないのか。日本の報道はやはりおかしい。