今国会の焦点、「出入国管理法改正案」は、衆院委を強行突破して参院にある。論戦では、繰り返し「技能実習制度の現状」をただされた政府は、十分に把握していないことを露呈した。そして、裁判などでも、低賃金やセクハラが明らかになった。こんな状態で、応募してくる外国人がどれほどいるか。
深夜労働までさせられ、絶え間ないセクハラも
1つは低賃金とセクハラの例だ。32歳の中国人女性は、5年前に来日。技能実習生として、茨城県の大葉の栽培農家で働いた。労働時間は午前8時から午後4時で、時給710円だった。しかし、5時以降も、大葉を束ねる仕事をさせられた。ひと束2円(時給換算で300円)で、時に深夜にまで及んだ。
他に、雇用主の父親(76)から絶え間ないセクハラを受けて、1年で帰国した。そして3年前、残業代の未払い分と慰謝料を求めて提訴。先月(2018年11月)水戸地裁は、残業代の残りと制裁金200万円の判決を出した。ただ、セクハラについては、父親が反論し、証言が得られないため証明できないとして、訴えを退けた。
労基署へ訴えたのは、30代ベトナム人女性。2016年4月、東北にある縫製会社の技能実習生になった。その社長が実習生に日本語を教える際、ベトナムや中国の女性実習生の尻を触るのが日常だった。「キス」を求められたこともあるが、断った。「気持ちが悪かった。死んでも、社長にはされたくない」
セクハラを逃げたこの女性は、草むしりをさせられ、反抗したら、残業をさせてもらえなくなった。女性は支援者を通じて労基署へ連絡し、立ち入り調査が入ったあと、社長が謝った音声があった。
暴力を受けたのは、徳島在住の30代ベトナム人技能実習生。配属先の企業の社長から、日常的に暴力を受けていた。今年5月には、社長が運転する重機にぶつけられ、肩甲骨骨折などで2か月入院した。
「スッキリ」が会社に聞くと、事故だったという。社長の暴力は見たことがないと。ベトナム人は、労働組合に相談の上、訴えを起こすかどうか検討中という。
実習生自身も前借を返すための「出稼ぎ」が多い
加藤浩次が「ひどい状況で働いている人たちがいる」
取材したリポーターの大竹真は、「技能実習というが、日本で技術を得て、母国で活かす、ということにはなっていない。ベトナ人女性の目的はあくまでお金。というのも、送り出し機関に約100万円を払って来日している。日本で稼いでこれを返済し、さらに家族へ仕送りしないといけない。出稼ぎです」
そもそも技能実習自体が、ただの安い労働力確保策だということ。受け入れの管理団体と企業の社長が密接で、どこにも相談できなかったという。
橋本五郎(読売新聞特別編集委員)「法改正は、外国人受け入れの枠を拡大しようというもの。しかし、今の実態すらよくわからず、調査しないといけない。人手不足で一番困っているのは中小と地方だが、賃金の高い都会に行ってしまうのではないかなど問題が多い。よく議論しないと」
加藤「外国人だから、多少のことは大丈夫だろうというのがある」
大竹「健全なところのほうが多いんですけどね」
基本的に、途上国の人間をバカにしているのだろう。技能実習というのが、安い労働者を得るための口実であることも見え見え。政府が急ぐのも、参院選対策だと言われる。