国境の町メキシコ・ティファナにあふれる移民キャラバン!国に戻れば殺されます・・・

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    治安悪化、貧困から中南米諸国を逃れ、アメリカへの移民を希望する「キャラバン」の第1陣2500人が、メキシコの国境の町、ティファナに到着した。

   着の身着のままで野宿をしながら旅を続けてきたキャラバンの人たちを待ち受けていたのは、アメリカ国境沿いに派遣された5000人の兵士の監視の目、張り巡らされた有刺鉄線の厚い壁だった。

   そのティファナから鎌倉千秋キャスターが伝えた。

犯罪集団に拉致され性的暴行

   ホンジェラスからやってきたという男児を連れたシオマラ・チリーノスさんは、息子は持病を抱え治療費が大きな負担になっていたが、治安は悪く、夫は安定した職に就けない。先週から入国手続きをする長い列に並んでいる。手続きをするだけで3週間はかかると言われている。

   だが、申請が受け付けられても、実際に入国が許可されるのは10人に1人もいない。「もうここまで来たら、誰もがあらゆる選択肢を考えています。なかには違法な業者にお金を払って国境を越える人も出てくるでしょう」と話す。

   同じくホンジェラスから来たアリソン・カナレスさんは、3人の幼い子を連れて移動してきた。3年前に犯罪集団に拉致され、性的暴行を受け続けた。2歳になる息子はそのとき生まれた。

   カナレスさんは「子どもを連れて命からがら逃げだしました。身元を証明するものやお金を準備する間もなく、追われるようにここに来たんです。国に戻れば殺されます。国を捨てるしか選択肢はないのです」と話す。

トランプ大統領は敵意むき出し

   キャラバンが始まったきっかけは、あるSNSの投稿だった。「危険な国を出てアメリカを目指そう」と呼びかけたのは移民を支援するNGOだった。これが拡散し、キャラバンになっていった。第1陣のあとを追うように、第2陣がメキシコシティを出発し、第3、第4陣もすでにメキシコ国内に入っており、総数は1万人に達しているという。

   キャラバンの人たちが最も気にしているのが、アメリカの移民を巡る動きだ。トランプ米大統領は「アメリカを移民の収容施設にはしない。不法入国する人々が引き起こした殺人や破壊を見てみろ」と敵意をむき出しにしている。

   NHKロサンゼルス支局の神津全孝記者は、移民の受け入れ基準が厳しくなっている現状をこう話す。「トランプ大統領は2年後に大統領選挙を控え、移民政策が強硬になるのは避けられないでしょう。移民の認定基準をより厳しくする指示を相次いで打ち出しています。アメリカで生まれれば国籍を与える出生地主義さえ見直す考えを示しています」

   武田真一キャスター「移民希望者が押し寄せ、滞留しているメキシコはどう見ているのでしょうか」

   鎌倉キャスター「地元の住民感情が悪化し始め、キャラバンの人たちに厳しい声があがり始めています。ティファナで、受け入れるべきだとする人たちと、反対する人たちのデモがありました。

   ただ、来月(2018年12月)には、トランプ大統領の自国第一主義を批判してきたロベスオブラドール氏が新大統領に就任します。ロベスオブラドール氏はメキシコ国内に留まりたい人には就労ビザを発行することを示唆していて、アメリカに入国拒否された人々の受け皿になる可能性を示しています」

   アメリカも開拓時代、経済発展時代と違って、移民を受け入れ続けることは難しい。欧州への移民もそうだが、背景にあるのは先進国とその他の貧しい国々との経済格差の拡大だ。

   *NHKクローズアップ現代+(2018年11月21日放送「密着!移民集団"キャラバン"~混乱のアメリカ・メキシコ国境では?~」)

文   モンブラン
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