フィギュアスケートのGPシリーズ第5戦ロシア杯で18日(2018年11月)、表彰式があった。フリーの6時間前、公式練習で負傷した羽生結弦選手(23)は、松葉杖をつきながら滑らずに表彰台に上がった。
またしても右足首を負傷してしまった羽生選手は、直前に構成を変える「対応力」で乗り切った。4回転ループを4回転サルコウに、4回転サルコウを4回転トウループに変え、右足に負担のかからないジャンプを冒頭にそろえた。
憧れの人の地で... 羽生選手の一途な想い
実は、直前の変更は大きなリスクもある。フィギュアスケート解説者の八木沼純子さんは「カーブやタイミングが変わってしまい、ズレが出てくる。ここまで構成を変えるのはなかなか難しい」と話す。そして「頭の中でずっと考えながら滑っていたのでしょう。でも、プログラム全体を見るとむしろステップなど緩急が増している気がする」と感心する。
フリーを回避する選択肢もあったが、強行出場したのには羽生選手の深い「ロシア愛」が関係しているようだ。
ロシアの皇帝、プルシェンコ氏は羽生選手にとって特別な存在だ。幼少期から髪型をマネするなどずっと憧れてきた。フリーの「Origin」はプルシェンコ氏の代表作「ニジンスキーに捧ぐ」をモチーフした曲。どうしてもロシアで結果を出したいという思い入れがあったのだろう。
さて、ケガは全治3週間というが、3週間後にはGPファイナルが待っている。出場はできるのだろうか?
八木沼純子「私がコーチならGPファイナルは回避させる」
八木沼さんは「もし私がコーチだったら回避させたいと思います」と難しい表情。「選手としては(来年3月の)世界選手権目指したいですからね。とにかく足を大事に、早く治して」と力を込めた。
司会の真矢ミキ「スターは実力もあるけど、普通の人にはできない一踏ん張りができる。羽生選手は小さいころからそうだったのですか?」
八木沼さん「幼いころから、自分をプロデュースする力はすごくある選手ですが、必ず努力もします。東日本大震災後にリンクで練習ができなかったときは、各地で開催されたアイスショーにすべて出た。『ぼくには今ここしかない。ここで頑張るしかない』と言っていました。色んなことをプラスに転じていけるんです」
真矢「それにしても、憧れられる存在になっても、ずっと同じ人に憧れ続けられるっていうのもすごいですね」