「高級すし店の格を著しく貶められた。失礼極まりない」と東京の老舗すし店「久兵衛」が怒っている。相手は日本3大ホテルの一つといわれるホテルオークラ東京だ。来年(2019年)秋に向け改装中の新館の店舗の場所をめぐり、対立している。
改装前は、久兵衛はホテル直営の高級和食店「山里」の隣のメインエリアだったが、新館では約110メートル離れた「アーケードの片隅」を指定されたとして、損害賠償1000万円を求める裁判まで起こした。
久兵衛は美食家として知られる北大路魯山人や政財界の大物らが愛した店だ。軍艦巻きを考案したのも久兵衛といわれる。築地のマグロの初競りでは香港のすし店と共同で3年連続落札している。
「半世紀以上やってきたのに、考えがたい仕打ちだ」
一方、ホテルオークラは英国のサッチャー首相はじめ、アメリカのレーガン大統領ら世界の有名人が滞在し、ダイアナ元皇太子妃も訪れた。こうした要人を魅了したのが「山里」だ。
久兵衛は今後も山里の近くに出したいと希望したが、オークラ側に拒否され、しかも、久兵衛が希望した場所には、久兵衛から独立した弟子が経営する別のすし店が入るという。
久兵衛は「旧本館で半世紀以上、オークラのすしといえば久兵衛といわれた。それなのに、久兵衛から独立した者が出店する。考え難い仕打ちだ」という。
ホテルオークラは「裁判中のためコメントを控えたい」としている。
東京五輪を前にホテル側は古いイメージ変えたい
司会の羽鳥慎一「老舗高級ホテルの中で、こんなことが行われているんですね」
浜田敬子(「ビジネスインサイダージャパン」統括編集長)「久兵衛の気持ちもわかりますが、ホテルはいま東京五輪前に競争が厳しくなっていて、新しい店を入れたいというオークラの思いも分からなくはありませんね」
玉川徹(テレビ朝日解説委員)「(格という)評価は、あくまで他人がするもの。自分でこうだと言うのは、ちょっと粋じゃないな。裁判にしちゃうと、なんとなくかっこ悪いかなという気がします」
まあ、庶民にはどっちの店も縁がないけどね。
一ツ石