東京メトロ千代田線で47年にわたって主力だった6000系車両が引退、そのラストランの11日(2018年11月)、車内で大混乱が起こった。写真を撮る「撮り鉄」、乗って楽しむ「乗り鉄」は知っているが、ラストランでは「葬式鉄」(ソウシキテツ)というんだそうだ。なんともはや。
6000系車両は1971年に導入された本格アルミ製車体。車内に扇風機があり、当時の最先端は今やノスタルジー。既に先月に通常運行は終了していて、この日はいわばサービスの、霞が関駅から綾瀬までの特別ラストランだった。
「痛い、痛い」「どけ、こら!」と怒声も
空車だった車両は、たちまちギュウギュウ詰めになったが、これ、「葬式鉄」が先頭の10号車に集中した結果だ。「葬式鉄」が撮った映像を見ると、つり革をつかむ手と人の頭、その間から突き出たスマホばかり。
テンションが上がり、「6000系!」「6000系!」と6000系コール。「楽しく乗っているみんな、怪我をしないように、楽しく最後の綾瀬まで行きましょう」という声に「いやー!」
混乱が起こったのは、終点綾瀬のひとつ手前の北千住駅だった。降りる乗客が降りられない。「痛い、痛い」「どけ、こら!」と怒声も。ようやくドアが閉まったが、今度は、「倒れている人がいるよ」「まずい、まずい」「子供が危ない」。
電車はもう走っている「緊急ボタン押すよ、押すよ」と押すシーンも写っていた。警報音が鳴り、「子供優先しろ、こらあ」「年寄りもいる。後ろに倒れているから」「人が生き埋めになってるぞ」。列車は緊急停車した。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト