宮城県仙台南署は先週(2018年11月)、仙台市に住む60代の女性が米軍司令官を名乗る男らに現金100万円をだまし取られる詐欺被害にあったと発表した。
実は最近、40代~60代の女性を狙ったこの手の詐欺が急増している。その名も「国際ロマンス詐欺」。米軍人を名乗り、SNSを通じて一度も面と向かって会わずに女性に恋愛感情を抱かせ、多額のお金をだまし取る手口だ。
撲滅運動を展開する「国際ロマンス詐欺撲滅協会」によると、被害は日本だけではなく世界中に及び、被害総額は約200億円にものぼるというから驚きだ。
総額1億2000万円を貢いだ女性も
被害者の1人、東京都在住のAさん(40代)はシリアの戦場の写真を撮る米軍所属の戦場ジャーナリストを名乗る男に250万円をだまし取られた。
SNS経由で届いたフレンドリーなメッセージからやりとりは始まった。絶え間ない「I love you」「もう君しかいない」「会いたい」という言葉に、Aさんは気づくとメロメロに。本人かどうか不明だが、SNSの写真だけで「確実に恋愛感情があった」と振り返る。
プロポーズ後、突然連絡が途絶えたと思ったら、「銃撃戦に巻き込まれた、ロンドンの病院に運ばれた。手術のお金が必要だ」などお金を送るように指示され、Aさんは250万円を2回に分けて送金した。3回目の送金の時、郵便局員が不審に気付いて、ようやく目が覚めた。
都内に住む40代のBさんも、国連軍の外科医を名乗る男から詐欺に遭った。1200万円を振り込んだところで不信感を覚えたBさん。警察の指示を受け、詐欺師と連絡を取り続けた結果、受け子として現れたカメルーン国籍の男の逮捕につながった。「怒りはなかった。自分の無知が招いた」と脱力した様子で話す。
「国際ロマンス詐欺撲滅協会」代表の新川てるえさんは「ここ1、2年で被害は増えている。相談がない日はなく、多い日は1日で5件ほど」と話す。「途中で気づいた人はまだいい。(偽の)米軍の結婚証明書まで送られてきて、2年間に総額1億2000万円の被害にあった人もいます」