バドミントンのダブルスの練習中、ペアを組んでいた仲間のラケットが左目に当たって負傷した女性に、東京高等裁判所は「パートナーの女性に全責任がある」として約1300万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
事故はバドミントン教室で2014年12月に起きた。負傷した30代の女性は瞳孔が広がって左目が見えづらくなり、日常生活に支障をきたすほどの大けがだった。
一審は「原告(けがをした女性)も一定程度の危険を引き受けて競技していた」として、パートナーに約789万円の賠償命令を出したが、高裁は「原告はプレー中に危険があることを認識しておらず、被告が全責任を負う。被告は原告の動きに注意し、ラケットが当たらないように配慮すべきだった」とした。
野球、テニス・・・スポーツ事故どこまで責任?
バドミントンのダブルスはそんなに危険なスポーツなのか。岸本哲也リポーターが頭部に小型カメラを装着して体験した。バドミントンサークルの代表とペアを組んだが、何度か2人が一緒にラケットを振る場面があり、「おお、危ない」(岸本)と、接触することもが多いことがわかった。
プレー中の事故の責任は、他の競技ではどうなっているのか。日本スポーツ法学会所属の安藤尚徳弁護士によると、野球でピッチャーがデッドボールによってバッターにけがをさせた場合は、ルールに基づく行為なので意図的でなければ過失なし。テニスのダブルスで後衛が前衛にボールを当ててけがをさせた過去の事例では、「お互いの技量が高くない」という理由で過失なしと判断されたという。
司会の小倉智昭は「不可抗力だと思ったけど、そうじゃないんだねえ。片一方だけが責任を負うんだねえ」と今回の判決に納得がいかない様子だ。
安藤弁護士「一審の方が感覚的には合っているかもしれませんが、二審で厳しい判決となった背景には、スポーツには危険が内在していますよ、というメッセージが込められていると思います」