「ブラジルのトランプ」が新大統領に選ばれた。28日(2018年10月)の決戦投票で元軍人のジャイル・ボルソナーロ下院議員(63)が相手候補に大差をつけて当選した。
「私はトランプ大統領のファンだ」と公言し、「トランプ氏は偉大なアメリカ、私は偉大なブラジルを求める」と訴えていた。2人の特徴は、「自国第一」を掲げ、ツイッターなどを多用し自らの主張を発信、銃武装を容認し、移民を制限することだ。
「お前はレイプする価値もない」「同性愛者は死んだほうがまし」
それに過激な発言。ボルソナーロ氏は女性議員に対し「あなたをレイプしないのは、その価値がないからだ」と侮辱する。同性愛者に関しては「自分の息子が同性愛者だったら愛することはできない。事故で死んだほうがましだ」と差別発言を繰り返してきた。演説ではお決まりの拳銃ポーズで、治安回復のために市民に銃を所持することを主張する。
トランプ大統領からも「お祝い」が届き、「電話があり、この歴史的な勝利を祝福されました」と披露した。
支持者たちは「彼は正直な男だと信じています」「ブラジル国民は目を覚まし変革を求めているのです」と新大統領を歓迎する。
ボルソナーロ氏だけでなく、ハンガリーのオルバン首相、オーストリアのクルツ首相、フィリッピンのドゥテルテ大統領ら「トランプ流政治」が近年、世界的に潮流となりつつある。
元外交官でキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦氏は「移民・外国・性差別など分かりやすい敵を作り、『利益が損なわれている』と訴え支持を集める」と指摘し、その背景に「経済的な不公正と格差の拡大、その不満を解消してくれる強いリーダーを支持する傾向がある」と分析する。
司会の羽鳥慎一「トランプさんを尊敬しているという新大統領、どう見ますか」
青木理(ジャーナリスト)「誰もが持っている本音の部分を煽ってポピュリズムによって支持を集める手法が、残念ながら世界中に広がっている」
菅野朋子(弁護士)「SNSの力が大きいと思います。分かりやすいんです」
玉川徹(テレビ朝日解説委員)「共通しているのは、経済的な低迷とそれを打破できない閉塞感なんです。しかし、いまのところ、解消できていない。そのうち、失望していくのではないかと思います」