繁盛する「遺品再生ビジネス」だれかにもう一度使ってもらいたい・・・

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   亡くなった家族の遺品はどうしたらいいのか。残しておきたいけど、置き場所や保管に悩むことが多い。1軒の家から出る遺品は平均3トンにもなるという。そこで、遺品の再生ビジネスに依頼が増えている。

   姉(77)と妹(71)が最も処分をためらったのは、母親が大切にしていた和だんすだった。姉妹の依頼でやってきた遺品整理業者は、まず廃棄するものと中古品として販売できるものとに仕分けた。和だんすは高値で売れるものに分類された。そして、この和だんすが送られた先は、フィリピン・マニラのオークションだった。

   経済成長を続けるフィリピンでは、より豊かな暮らしを求める市民に、日本で大事に使われてきた中古品が人気だ。中古品オークションの参加者は、「日本製品は品質がいいし、新品よりも中古品に人気があります。日本人が大切に使ってきた遺品なら、品質が良く丈夫なので付加価値がつきます」と話した。

   姉妹の和だんすは女性が3万1800円で落札した。フィリピンの平均月収4万6000円の3分の2以上の高値だった。落札した女性はマニラで日本の中古品店を営んでいる。「きれいなのが魅力です。遺品でも気にしません」と、さっそく店頭に並べた。付けた値段が5万4000円。1週間後に買い手が付き、約5万円で売れたという。

   買い手がついたことを姉妹に知らせると、「ジーンとくるというか、うれしいですね」「感謝です」と喜んだ。

中尾彬・池波志乃は夫婦で「生前整理」

   ゲストの俳優、中尾彬・池波志乃は夫婦で終活に取り組んでいる。中尾はトレードマークの「ねじねじ」のマフラー200本を処分したほか、舞台で使ったたくさんのカツラを、歌舞伎の床山を通じてカツラ専門業者に引き取ってもらった。

   池波は「アトリエを処分したんです。取りに来てくれるならあげると、友人や知人に声をかけました。テーブルはいま秋田のレストランにあるんですよ。適材適所を見つけるのも楽しいし、身軽になる過程も楽しい」と話す。

   生前に、自分が死んだら遺品となりそうなものを処分する人も増えている。骨とう品店や引っ越し業者などが中古品を引き取る。処分の方法が分からない人のために、品物を見極めたりアドバイスする「生前整理診断士」というのもいる。業界独自の講習を受けた専門家だ。

   生前整理診断士の三浦靖広さんによると、生前整理は「捨てる」のではなく、「手放す」のだという。言い換えることで持ち主の罪悪感が薄れ、決断がしやすくなるそうだ。なるほど。さらに、中古品として誰かが使ってくれるなら、ちょっと満足感もありそう。

   *NHKクローズアップ現代+(2018年10月24日放送「広がる"遺品再生"ビジネス」)

文   モンブラン
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