「スマホをタッチしただけで儲かる」「皿洗いの合間にスマホをタップするとお金が稼げる」
こんな胡散臭い動画に主婦がだまされている。全国消費生活センターへの相談件数は4~9月末で90件にのぼっており、消費者庁は注意を呼び掛けている。
スマホぽちぽちビジネスと呼ばれる商法で、画面左上に「株式会社Quest PR動画」、右上に「タップ イズ マネー 起案者加藤絢子」書かれ、女が「あやパンこと加藤絢子です」と名乗りながら登場する。スマホをいじり、「もうこんなに収入が得られています。ヤッター」と2万3620円と書かれた画面を見せる。
「1万8000円払い込めば5万円のキャッシュバック」
被害に遭った栃木県在住の50代の女性が語ったその手口とはこうだ。ネットに「稼ぎたい方必見!」と書かれたサイトがあり、「爆速即金GET アプリ特別配布!」「24時間限定の即金アプリを今すぐゲット!!」とあった。
女性は「儲かるバイトというので、ごく軽い気持ち」で応募したが、どんなビジネスなのかまったく説明がなく、あやパン動画を見せられただけだった。おかしいと思った女性が電話で聞くと、「ビジネスに参加するには解説書を1万8000円で購入する必要がある。購入すれば5万円のキャッシュバックがある」と説明された。
「高いなと思いながら」1万8000円払って購入した解説書には、中国の通販会社から安く購入した商品を日本の通販で高く売り、その差額が収入として得られるとあった。
女性は、80万円払って2100万円の売り上げが見込めると謳うプランに応募したが、仕入れ方法など一切説明がなく10日後に解約した。
これまでにこの商法に6000人が加入し、会社は6億4000万円を稼いだと見られている。
勧誘会社社長は開き直り「消費者のやり方が悪い」
消費者庁が、この怪しい商法を勧誘しているQuestの社長に聴き取り調査をしたところ、誇大広告を認めた上で、「必ず儲かると思って商売をしている消費者のやり方が悪い。(ウチのビジネスを)使いこなせなかったのだ」と開き直ったという。「あやパンこと加藤絢子」も架空の人物だった。
司会の国分太一「おいしい話はないと思った方がいいかも知れませんね」
コメンテーターの三輪記子弁護士は「儲からないわけでもないという点がポイントで、詐欺として立件するのは難しい場合が多いと思います。ただ、詐欺でないとしても、虚偽広告や誇大広告から消費者の被害を防ぐ、特定商取引法で罰する方法はあります」という。