大手スーパーのイオンとフジテレビが共同IPを使用して制作する子ども向け情操教育番組である。といっても午前5時台の放送で本当に子供は見るのだろうか。しかも番組を実際見ると、相当大人向けというか、この時間まで夜ふかししている自分みたいなダメな大人向けである (まあ子供でも楽しめそうではあるが)。
1992~1994年に同局で放送され大ヒットした子供番組『ウゴウゴ・ルーガ』のスタッフがちょっと参加しているらしい。筆者もその頃本来の対象年齢の子供で、番組を楽しんでいたクチだ。メインキャラクターの子役の役名も、男の子が「じゃじゃじゃ」、女の子が「じゃ~ン」と、それぞれ「ウゴウゴ」と「ルーガちゃん」だった『ウゴウゴ・ルーガ』と同じ形。また「AIさん」というCGキャラが進行役を務める点も似ている。
桃太郎と仲間の動物を卑劣な犯罪集団に
でも初回はその3人のメインコーナーより、随時挿入されるミニコーナーの方が面白かった。1つ目は『からだざつお』という簡単なアニメ。このキャラクター、顔はかなり写実的なのに、体は雑というか2歳児くらいの子がテキトーに描いたような感じの、おっさんのキャラクターだ。体が雑だから、かっこいい体を探しているのだ。その「からだざつお」がF1のように走り去る物体を見つけ、これは良い体に違いないと「合体」してみると、「からだ」じゃなく「サラダ」だったというシャレで、子供番組らしい筋書きなのだが、絵と演出のインパクトで大人でも楽しめる。
2つ目は、『だいなし むかしばなし』。今回のタイトルは『ももたろうと宇宙銀河戦士ジャスティーン』。有名な昔話にそぐわない要素を足して台無しにさせる企画らしい。桃太郎の桃と一緒に救われたジャスティーンが、お返しに爺さんには宇宙高枝切りバサミ、婆さんには宇宙だんご製造マシーンをプレゼントしたが、桃太郎は何もくれなかったので嫉妬に狂う。ナレーション曰く、「個性を履き違えた奇抜な服」で、「カネや常習性のある危険な食べ物」で動物を買収、「恐ろしい不良集団の誕生である!」。本来の『桃太郎』とそんなに変わらない部分だが、鬼退治を完全な卑劣な犯罪行為として語り切っており、だいぶ思い切っている。あとどうでも良いけど、ジャスティーンのデザインや作品のナレーションの口調は、なんか海外特撮番組の「キャプテン・パワー」(1987年、テレビ朝日系で放送)ぽかったな(笑)
そんなこんなで、ミニコーナーはお笑いの文法としては結構手堅い構成だ。メインの「じゃじゃじゃ」、「じゃ~ン」、「AIさん」らのキャラクターのコーナーも、今後慣れてくるとよくなりそうだし、毎回チェックしたい。でもこんな番組、イオンはよく引き受けたな...朝早すぎるけど本来の子供にも受ける要素はあると思うので、ヒットするといいね。
(10月13日(土)午前4:52放送)
鯖世 傘晴