謎の路上芸術家バンクシーの絵画「赤い風船と少女の絵」がロンドンの競売大手サザビーズのオークションで、約104万ポンド(約1億5500万円)で落札された直後、額縁に仕掛けたシュレッダーが動き出し、半分が細断されてしまった。5日(2018年10月)のことだ。
「アート史上最も大胆ないたずら」の声が上がる一方、「芸術が富裕層の金もうけに使われることへの抗議だ」という解釈も広がっている。
素顔も本名も明かさない反権力の謎の絵師
バンクシーは、黒づくめ姿で顔を出さない。素顔はもちろん年齢や本名を非公表だ。「土地は誰のものでもないはずだ」という駐車場を風刺した作品を発表するなど、反戦、反権力を訴えるメッセージ性の高い作風が注目を集めている。1990年代前半から世界各地の壁に絵を描き始め、2005年にイスラエルとパレスチナを隔てる壁に穴をあけた図柄を描いてから特に評価されるようになった。
インタビューしたことがあるライターの鈴木沓子さんは「ごく普通の若者の感じです。戦争や貧困により恵まれない人を少しでも変えていけたらと言っていました」と語る。そして、今回の一件については、「アートを商品にすることへのアンチテーゼ、意味もわからずに売買するのはどうかという問いかけだと思います」と話した。
司会の加藤浩次「アートは富裕層だけのものではないということか。投機目的はいやだと。シュレッダーに半分かけられたことで、かえって値段が上がるのではないですか」
文
あっちゃん| 似顔絵 池田マコト