「縁切り死」身元わからなくして自殺2万体・・・いい思い出だけ残して消えたい

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    身元不明の遺体が増え続け、全国で約2万体に上っている。なかでも、家族や世の中と縁を切るかのように姿を消し、身元がわかるものを持たずに自殺する人が相次いでいる。

   東京都内の駅で電車に飛び込み亡くなった70代女性は、財布や携帯電話などは持っておらず身元は不明だった。警視庁の身元不明相談室が遺体の似顔絵を作成して身元を探したところ、行方不明届が出されていた北関東の女性と似ていることが判明。その後、歯型の鑑定などで人物が確定された。

   この女性は男性と30年あまり一緒に暮らし、かつては飲食店をともに経営していた。男性は女性が突然いなくなり探し続けていたという。自殺の1週間前には2人で紅葉を見にドライブに出かけ、笑顔で写真にも写っていた。変わった様子はまったくなかったという。

   しかし、2人で買い物に行ったある日、女性はトイレに行くと言ったまま戻らず、姿を消す。その日に、東京で自殺していた。「本当に何も持たない、着の身、着のままだった」「すぐ自殺するなんて考えられなかった」と男性は話した。

   自宅には1枚のメモが残っており、「探さなくていい」といった内容が書かれていたが、自殺の理由は一切書かれていなかった。

生きていると信じて帰り待っている家族

   警視庁の身元不明相談室の責任者で、鑑識課長の渡會幸治さんは、縁切り死をこう話す。「ご家族の方としては、まだ生きていると信じて帰りを待っているわけですから、非常に残念なお知らせをしなければいけない。なぜこういうことになったんだろうと悲しむご家族が多いですね」

   鎌倉千秋キャスター「縁切り死の背景にいったい何があるのでしょうか」

   自殺問題を調査しているNPO代表・清水康之さんは「残される人たちに過度な負担をかけかねないという中で、知られずにそっと姿を消すということを考えた可能性はあります」と話す。

   作家の平野啓一郎さんはこう語った。「きれいな思い出だけを残して消えたい」という願望ではないかとみる。「その人がどんなに多様で複雑な人生を生きてきたとしても、自殺をしてしまうと、自殺をした人っていうふうにしか見られません。(突然消えることで)良かった関係のまま、その人の心の中に残りたいっていう気持ちもあるのではないでしょうか」

   *NHKクローズアップ現代+(2018年9月18日放送「"縁切り死"なぜ愛する人が突然・・・」)

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