75歳で亡くなった俳優の樹木希林さんは、がん告白後は不登校や自殺問題にも取り組み、「命の講演」も行っていた。2015年8月、不登校の子どもたちと親の前で、こう述べている。
娘に「結婚は分別がつかないうちにした方がいいわよ」
「自殺する前に世の中を見てほしい。あなたを必要とする人が必ず見つかるから。だって、世の中に必要のない人間なんていない。歳をとれば、がんとか死ぬ理由はいっぱいある。無理をして、いま死ななくてもいいのよ」
もし、わが子が不登校になったら、次のように話すと言う。「行かなくてもいい。それより、『こっちにおいで』と言う。学校に行かない子どもにも役目がある。『お役目ご苦労様』と言うと、やる気が出るはず」
娘の也哉子さんが19歳で結婚する時、学校に行こうか悩んでいると「あのね、学校はいつでも行ける、結婚は分別がつかないうちにした方がいいわよ」とアドバイズした。
漫画家の倉田真由美(漫画家)「これ、普通は逆ですよね」
司会の国分太一「闘病生活とか、不登校や自殺問題に悩んでいる人たちにメッセージを送っていますが、希林さんと長く一緒にいて、一番学んだことはなんですか」
希林さんが主演した映画「あん」の原作者のドリアン助川さんが答える。「ある山間地の中学校で上映会をした時、映画の感想について一言も言えない、固まった女の子がいました。希林さんは、その子を、ただ抱きしめたのです。わかる、わかる、私もそうだった、と。辛辣な言葉もありますが、基本は抱きしめる人でした」
それを聞いて、司会の真矢ミキは涙をぬぐった。
キャスターの堀尾正明「希林さんは、世の中はそれでいいのか、といつも一石を投じてくれました。この日は敬老の日で、いかによく死んでいけるか、われわれに教えてくれました」