「おい、しっかり野球やれよ」「オロオロオロオロやってよオ」「もっとしっかりタッチせえよ」
少年野球チームの監督が関西弁でわめいている。次の瞬間、ばちんと平手打ち。小学生が吹っ飛んだ。
こんな動画がネットに投稿された。昨年7月(2017年)に行われた練習試合で、保護者が撮影したものという。このチームは全国制覇をしたこともあり、プロ野球選手も輩出している関西の強豪という。
親たちも文句言えず・・・
タッチが弱かったために、アウトのはずがセーフになって、その後に3点を失った。「完全にアウト」「お前がアウトにしてたら、3点ないやろ。おら!」と、プレーが続行中なのに、メガホンで罵声を浴びせる。
チェンジになって、選手が戻ってきても怒鳴り続け、あげくに平手打ちだ。それでも罵声は続く。「お前がタッチしてたら、2対1や」「言うてできへんかったら、しばかないかんやろ」などと、試合が終わるまで続いた。別の選手は「エラーしたりすると殴られる。誰でも」という。
しかし、親たちは「黙って見ているしかなかった」という。むしろ、「叩かれるのは、期待されてるから」と思い込んだりしていた。叩かれて、しばかれて、が当たり前だったと話す。
ひどく叱責されて投げられなくなった子もいた。母親は「投げられないからミスをする。ミスして叱られるという悪循環です」「試合になると、笑顔がなくなるんです」「うまいこといっても、笑顔がない。何のために上手くなったん」と嘆く。
やめて別のチームで野球を続けている選手の母親はこう話す。「全然違います。技術と体罰は伴わない」「バッティングもよくなった」「守備もよくなった」「のびのび、全力でプレーしてる」
監督は「師弟愛での指導で、子と保護者からはわかってもらっている」と、悪びれた様子はない。こうした事態に、地域の軟式野球連盟は「暴力は認められない」として、処分を検討している。
動画を投稿した保護者は、「軟式野球連盟に『暴力をやめさせてほしい』と何度も訴えたが、改善されませんでした」という。