「ひきこもり」はイケナイの?経験者の中川翔子、山田ルイ53世が実情リポート

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   「私たちひきこもりの経験者です」

   こういって登場したのは、タレントの中川翔子とお笑いコンビ「髭男爵」の山田ルイ53世(髭男爵)だ。ひきこもりの人たちの集まりを訪れ、二人が驚いたのは中年男性や女性が多いことだった。若い男性ではなく、いまは女性、なかでも主婦に広がり、高年齢化しているという。

   増え続けるひきこもりの実態は把握されていない。推定54万人(39歳以下)とされてきたが、専門家からは100万人に達するという指摘もあり、国もこの秋(2018年)から本格的な調査に乗り出す。NHKもSNSサイトを通じてひきこもり当事者や家族などから体験談を募集したところ、300通を超える投稿があった。半数が40歳以上、女性が大半だった。

   投稿した一人で、いまはひきこもりは回復しているという夫と子ども3人で暮らす40代の主婦を中川翔子が取材した。保育士だった主婦は、出産後に仕事と育児の両立が厳しくなり退職した。なぜ他の人のように両立させることができないのかと自信を失い、社会との繋がりも薄れ、夫や子どもともかかわれなくなった。

   主婦は当時を「人が怖くて、コンビニの店員まで怖くて、顔を見ないようにして買い物をしたり、近所の人に会わないようにしたりしました。こんな自分じゃダメだと思いながら、体が動かないし、やる気が起こらなかった」と語った。

「だれもがキラキラ主人公じゃなくていいんだよ」

   安倍政権が最重要課題として進める「女性が輝く社会づくり」がもたらした負の部分だろうか。「しゅふJOB総研」が「専業主婦であることに後ろめたさや罪悪と感じたことがあるか」と聞いたところ、「ある」が25.2%、「少しある」が31.5%だった。

   中川は「ひきこもり女子会」をのぞいた。人とうまくかかわれないが、この会にはなんとか出てこられるという女性たちが集まり、本音を語りあう。これまでのべ2000人以上が参加したという。

   参加のきっかけは「男性の多い職場でセクハラにあって」「両親との関係がうまくいかなくて、助けを求めてもだれも助けてくれなかった」などさまざまである。中川はこう話す。

   「私は10代にいじめにあってひきこもったので、理由ははっきりしていたんですが、今は悩みもその人の主観、それぞれで全然違う。『ちゃんと頑張っているじゃない』と励まされたことで、逆に傷ついてしまった人など、いまはひきこもりの形がどんどん変わり、(実態を)知らないといけないなと思いました」

   中学2年生から6年間引きこもった経験のある山田ルイ53世が訪れたのは、ひきこもり当事者や経験者が作る雑誌「HIKIPOS」(ひきポス)の編集会議だ。雑誌はネットや支援団体の窓口で販売されており、ひきこもりの原因や外へ出るようになったきっかけ、恋愛観などが語られている。

   「誰もがキラキラ主人公でなくてもいい。朝起きて、カーテンをシャーンと開けて飛び出していかにゃいかん、みたいんじゃなくても、もっとしんなり生きてもいいんじゃないかと思います」と山田ルイ53世は語った。

   中川翔子、ルイ山田53世、武田真一キャスターが声をそろえて指摘したのは、「ひきこもりルネサンス」だった。

   *NHKクローズアップ現代+(2018年8月29日放送「ひきこもりルネサンス~生き抜くためのヒント~」)

文   モンブラン
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