エアコン効かない病室で5人の入院患者が熱中症で死亡した岐阜市の「Y&M藤掛第一病院」の藤掛陽生院長の弁明は、まるで痛痒を感じていないかのようだった。
「転院とかの対応は考えなかったのか」と聞かれると、「患者さんの中には暖かい部屋、暑い部屋がいいという人もいるので、それらの人には残ってもらっていた」と話す。高齢者の、それも認知症が疑われる患者に、熱中症の危険など自覚できるはずがないだろう。それを判断するのが医者の役割ではないのか。
また、亡くなった患者のなかに「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」がいたことについても、「あれはね、あっという間に亡くなります。そういう病気です」とまるで他人事で、エアコン故障との因果関係を否定した。病院の広報担当者も「病院としては何か問題があったとは考えておりません」とコメントした。まるで、死亡したのは患者のせいといわんばかりだ。
高温多湿の中に放置され免疫低下
池袋大谷クリニックの大谷義夫院長は「エアコンの効かない高温多湿の環境で数晩を過ごされたので、免疫が低下して肺炎を合併し命を落とすことはありうるかもしれません。しかい、高齢の基礎疾患のある免疫の低い患者さんを数日間エアコンの効かない部屋に滞在させたことは、正しくない医療行為だと思います」と指摘している。
岐阜県警は業務上過失致死ではなく、殺人容疑で家宅捜索をしたが、菊池幸夫(弁護士)は「病院側が死んでも仕方がないとか、そう判断し怠慢な対応をしていたことが認められれば殺人容疑になる可能性があります」という。
文
モンブラン