3日間山に一人で過ごした理稀ちゃん退院 何も聞かないお母さんの対応が素晴らしい

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   山口・周防大島で68時間ぶりに救出された2歳の藤本理稀(よしき)ちゃんが5日間の入院を経て20日(2018年8月)午後、母親の美緒さんに抱かれて無事に退院した。

   報道陣の前に現れた理稀ちゃんの顔や顔には、すり傷や虫に刺れた痕がまだいくつも残っていて、一人で過ごした過酷な3日間を物語っていた。

   当初の見通しより2日も早い退院だったそうだが、美緒さんによると入院中は「初日と2日目は体調が戻っていなくて口数が少なかったが、体調が戻ってからは普段のようによく喋り病室で遊んでいた」という。

救出した尾畑さん「会いに行かない。被災地に集中です」

   ところが、理稀ちゃんはカメラの多さに驚いたのか、終始こわばった表情。報道陣から「よっちゃん、声出せる?」と声がかかると顔をそむけてしまった。

   入院中の様子について美緒さんはこう語った。

   「『一人だったの?』という問いかけには頷いて、『3日の間、何か食べた?』という問いには首を振っていたんです。不安な気持ちを思い出したくないようで、『嫌だ』とかそういう形の返事しかなくて、それ以上は聞いていません。体調が落ち着いたら皆でお祝いをしたいなと思っています」

   最後に、美緒さんから「バイバイする?」と促された理稀ちゃんは、報道陣に右手を振ってバイバイした。

   一方、理稀ちゃんを救出したスーパーボランティアの尾畠春夫さん(78)。広島県呉市天応地区の被災地でボランティアに励んでいた。報道陣から退院の様子をスマホやビデオで見せられて、「ガッと見開いた元気な目に安心しました。よかった、よかったの一言です」。

   報道陣から「理稀ちゃんに会いに行きますか?」と問われたが、「あ~、私はしないね。今は天応地区でボランティアさせてもらっており、これに集中です」と尾畠さんらしい答えが返ってきた。

   スタジオでは、国文学研究資料館のロバート・キャンベル館長がこうアドバイスした。

   「不安というのは意識しなくてもしばらく続きます。お母さんが言われたように、深追いをしない、聞かないことにするのはすごくいいことと思う。不安が再生されることで、それが確定することがある。いつもどおり温かく接し、家の中にいるのがよい」

文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
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