山口県で不明だった2歳の男の子を見つけ出した、スーパーボランティアの大分県の尾畠春夫さん(78)が、週末から豪雨被害の広島県呉市でボランティア活動に参加していた。報道ですっかり名前が知られ、いたるところで写真を撮られる忙しい日々となっている。
名前が知られてからは大変だ。行く先々で握手を求められ、記念写真に収まる。自宅に戻ると、配達された新聞には、「日出町の誇りです。ご苦労様でした。大きく載っています」と配達員の手書きのメモが付いていた。
行く先々で握手を求められ、記念写真に
夜には、近所の小6男子が訪ねてきて、「テレビを見て、感動しました」と握手と記念撮影。尾畠さんは、「ありがとう」と少年を抱きしめ、肩車して写真に収まった。
昨日19日(2018年8月)朝7時、尾畠さんは呉市の災害現場に停めた軽自動車の脇で、インスタントラーメンを食べていた。ラーメンを少し、ネコにあげる。「前にいた時、一番に近づいてきてくれた動物でね。今朝起きた時も、そこに座って待っとったの」「もしかしたら、水害で被災したネコかもしれない」
すっかりトレードマークになった赤いタオルを頭に巻いて、赤い作業着に長靴、作業道具から食料、水までを背負って、災害現場へ急ぐ。ヘルメットには「絆」「朝は必ず来る」とある。
この日は、一般家屋に流れ込んで固まった土砂を運び出す作業。経験者として、グループのリーダー役だ。「(袋には)半分より多くは絶対入れないように」などとアドバイスをする。被災者にも「必ずあなたにも太陽が差すから、夢を持って前に行きましょう」と、変わらぬエールを送り続けていた。
半月ぶりの被災地も、テレビカメラが付いてきた。ボランティア仲間からの「大ヒーローになって」という声に、「いやいやいや」と照れくさそうにしていた。被災者も「しゃんとしないといかんなと元気付けられた」「天使のような存在」などという。
ボランティア活動は、鮮魚店を畳んだ65歳から。すぐに被災地へ向かえるよう、衣・食・住を常に準備している。衣類は丸めて部屋に積んである。主食は持ち歩きに便利なパックご飯。普段からゴザの上で寝ている。
尾畠さんは、「地球って70億人いるけど、みんなに朝は必ず来ますからね。今日は悲しいかもしれないけど、明日の朝になったら必ず太陽が差す」と言い続けている。
キャスターの羽鳥慎一は、「素晴らしいですね」という。宇賀なつみアナが解説した。尾畠さんは、月5万5000円の年金からボランティア費用を捻出している。自宅では、息子の奥さんの手作りおにぎり。東日本大震災から、好きだった酒も断った。「仮設住宅がなくなったら、浴びるほど飲む」
羽鳥「取材を受けるのも、それによってボランテイアが知られるようになるからだという」
タレントの石原良純「あの小学生なんか、一生忘れないでしょう。大きくなったらボランティアやるよね」
弁護士の住田裕子「社会のために、というのは実践が大変。身をもって示している」
テレ朝解説委員の玉川徹「こういう人は、福祉の分野とか、いっぱいいらっしゃると思う。我々には真似ができない」