阿波おどりの呼び物、「総踊り」の中止を巡って、徳島市と対立している踊り子の一部1400人が昨日13日(2018年8月)夜、指定場所を外れた商店街で「総踊り」を強行した。混乱は全くなく、観客はいつもの桟敷席より間近で踊りに接して、大喜びだった。
この対立、遠藤彰・徳島市長が今年(2018年)6月に突然「中止」を決めたことから。「総踊り」は、4日間続く阿波おどりの毎日の締めとして行われ、最大で1800人が一斉に踊る、祭りの華だ。ただ、4か所の会場のうち1か所だけのため、入場者がここに集中。これをなんとか分散させて、入場料収入の底上げをしたいというのが、市長の目論見だった。
手を伸ばせば踊り子に触れる距離「これが踊る阿呆と見る阿呆」
これまで阿波おどりを運営してきた徳島市観光協会の累積赤字が4億円を超えたため、市は観光協会の破産手続きを取って潰し、代わって市の実行委が直接運営に当たった。「総踊り」の中止は、その中から出てきたのだが、踊り子側が収まらなかった。
阿波おどり振興協会の山田実理事長は「絶対にやる。誰が反対しても止まらない」と強硬で、昨日夜10時から、桟敷席のある演舞場と演舞場を結ぶ商店街、通称「踊りロード」で総踊りをやると宣言した。実行委が「歩行者天国」に指定していたところだ。
対して遠藤市長は、「演舞場以外での総踊りと称する大規模な踊りは大変危険です。節度ある、良識ある行動をお願いします」と中止を呼び掛けた。場合によっては「バリケードを作るとか警察と連携して」と強い声明を出したが、振興協会は耳を貸さず、予定通りに総踊りを強行した。
参加したのは、14グループの1400人とやや少なめだったが、通りは人で溢れた。観客は道端に座ったり立ったり。それこそ手を伸ばせば踊り子に触れる距離感で、阿波おどりの醍醐味を満喫していた。
踊りは30分でピタリと終了。山田理事長は、「こうやって応援してくれる人がいるので助かる。これが踊る阿呆と見る阿呆よ」と満面の笑みだった。総踊りはこの日だけで、以後はやらないという。まずは意地を通した格好になった。
しかし、これで問題のけりがついたわけではない。累積赤字の原因追求や、観光協会の破産手続きなどで、なお「対立」「攻防」は続く。背後にドロドロしたものもあるのも事実だ。
キャスターの羽鳥慎一「盛り上がっていました。観客はこれを見たいんだなとわかる
青木理(ジャーナリスト)「報道によると、地元のメディアや行政が、阿波おどりを利権化したのが騒動の発端。阿波おどりは徳島にとっては大財産で、もったいない。原因の大元を取り除かないといけない」
弁護士の菅野朋子「誰が一番の担い手かというところに目を向けて欲しい」
羽鳥「利権とは関係のない、ただお祭りを堪能したい人たちが、昨日は楽しんだ」