漫才より笑える太田光「日芸裏口入学騒動」30年以上もたってなぜバレた?

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   最近の週刊誌を読んでこれほど笑ったことはない。週刊新潮の「爆笑問題・太田光(53)の日大芸術学部への裏口入学」の記事である。最初は、なぜ30年以上前の太田の「裏口入学」をいまさらと思ったが、読み進めるとこれが爆笑問題の漫才よりもはるかに面白いのだ。

   立川談志が爆笑問題を買っていたのはよく知られている。その談志さんの「業の肯定」をマクラに、太田の高校時代の話へと入って行く。東京・板橋にある大東文化大第一高校にいた3年間、太田は<誰とも口をきくことはなかった>(週刊新潮)という。同級生が太田の印象を<「休み時間になると、なぜか廊下で立っていたことぐらい」>だと話している。こういうヤツ、オレの学生時代にもいたね。

   だが、太田は大学で弾けてやる、日大の芸術学部へ入って映画を撮りたかったと朝日新聞の「仕事術」で語っている。日芸は医学部を除いた日大の花形学部で、OBには深作欣二、森田芳光、三谷幸喜、林真理子などがいる。

   先の同級生にいわせれば、太田は<「割り算ができなかった」>。太田自身も、ダンゴ屋でバイトをしたとき、釣り銭の勘定ができず、客に怒られないように<「なるべく多く渡していた」>というほど、算数に弱かったそうだ。

   そんな一人息子を溺愛し、心配した父親・三郎氏は、週刊新潮によれば、「裏口ネットワーク」を使って日芸へ入れようとしたというのである。ちなみに、父親は南青山にある内装会社「三光社」の社長だった。

   その裏口もすんなりいったわけではなかった。日大関係者がこう話す。<「この成績では無理だろうというレベルでしたね。太田の父親とも何度か打ち合わせの席を持ちましたが、"息子、バカなんです"と繰り返していてね」>

   少しゲタを履かせる程度では入学できない。そこで、日大の現役教員が太田をカンヅメにして、直接指導する臨戦体制をとったという。それも1次試験の前日にやったというのだ。当然、翌日の試験問題と同じものをやらせたに違いない。

   それでも、2次試験の後、不合格の判定が下されてしまう。<「ゲタの履かせようがなかったんです。(中略)学科試験は太田の場合、英語と国語なんですが、英語は限りなくゼロ点に近くって。答案用紙を逆に書いたのかぁと疑うほどでして」>

   当時の総長も参加して、「これは却下しよう」となった。だが、入学式の前日か数日前に、太田一人を合格させると露骨だからと、補欠合格として他にも5~6人入れることが決まったという。その対価に、父親は日大サイドに800万円を払ったそうだ。1984年のことだそうだから、大卒の初任給は13万5800円(厚労省の賃金構造基本統計調査より)。年収の約5年分である。

   この報道に太田が怒り狂った。自分が出ている番組で、「週刊新潮、バカヤロー、この野郎。裏口入学するわけねえだろう」と全否定してみせた。日大関係者を「このクソガキが」といい、「そいつに会わせろよ。俺は逃げも隠れもしない。テレビで公開討論でもやるよ、ウソだって分かってんだから」とまくしたてた。

   太田の父はすでに亡くなっている。「俺が有名だってことで、死んだ後まで親父をこんなふうに・・・情けない」と話し、事務所の社長で妻の光代も「法的措置を辞さない」としている。

   週刊新潮の記事は30年以上前のこととは思えないほどディテールがしっかり書き込んである。私もなぜこのような記事が今頃出てきたのか知りたい。東京医科大の裏口入学が問題になっているから突然思いついたわけではあるまい。

   「割り算もできない裏口芸人」という"汚名"を太田が晴らせるのか。それとも週刊新潮の返り討ちにあうのか。興味津々である。

日本をダメにした「総理大臣ワースト10」トップはやっぱりあの人かあ・・・

   翁長雄志沖縄県知事が亡くなってしまった。享年67。7月27日(2018年)に、前知事による辺野古の埋め立て承認を撤回すると会見してからわずかしか経っていない。自民党本流から辺野古基地建設反対へと変わったことで、毀誉褒貶の人という批判もあった。

   2007年、高校の歴史教科書で、日本軍に強いられた沖縄の集団自決という文言を削除・修正する検定意見が出た時、「あれほど先祖が辛い目に遭った歴史の事実が無かったことにされるのか」と憤り、自民党を離れた。<知事選に当選した時、妻・樹子さんと「万策尽きたら辺野古のゲート前に夫婦で座り込む」と約束したという>(琉球新報8月9日付より)

   オール沖縄のシンボルを失ってしまった。つくづく沖縄はツキのない県だと思わざるを得ない。いまこそ翁長氏の無念をヤマトンチューも引き受けなくてはいけないはずである。

   週刊ポストに「日本をダメにした10人の総理大臣」というのがある。歴代の総理連中は、多かれ少なかれ、何らかの形で日本をダメにして去っていった。その積み重ねが今の惨状なのだ。実名で政治記者、評論家、学者たち52人が挙げた最悪の総理ワースト3は――

   1位は菅直人、2位が安倍晋三、3位が鳩山由紀夫である。小泉純一郎や麻生太郎、森喜朗を堂々と抜き去り、菅はともかく、現役の安倍が2位とは見事なものである。元文部官僚で京都造形芸術大学の寺脇研教授によると、推薦の理由はこうだ。

   <「三権分立を壊すという、とんでもない政治を行っている。国会軽視、官僚委縮、そして政権に対するチエック機能を潰してきた。あげく、司法にも人事で介入する始末。第4の権力とも称されるマスコミにも、圧力の関係を築いた。つまり、戦後の立憲主義を破壊した」>

   まあ、これでだいたいいい尽くされているが、安倍の大罪は、戦後を形作ってきた平和主義、国民主権、人権主義などをすべて破壊してきたことである。もちろん、まだ安倍に壊されないものは残ってはいるが、このまま安倍のような人間の政権が続けば、それさえも吹き飛ばされてしまうかもしれない。一番心配なのは、そうした安倍的なものに不安感を抱かない若い世代が増えているということである。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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