一見したところ、ミョウガか桜海老のようだ。鮮やかなピンクだが、れっきとしたバッタ。千葉県東金市にある千葉県立農業大学の学生がメス1匹を捕まえて、「珍しい」と温室に放した。それが10匹に増えていた。メスだけなのに? これまた、不思議なお話だ。
種類は「クビキリギス」というのだそうだ。よく見ると、ピンクの色には濃淡があって、個性的ではあるのだが、素人目にはバッタには見えない。バッタといえば、グリーンかカーキ色に決まっていたのでは?
同大の清水敏夫准教授は「衝撃ですね。こんなものが世の中にいるのかと‥‥」という。つまり専門家も見たことがない?
発見は偶然だった。清水研究室の学生、板橋聖大さんが昨年(2017年)9月、田んぼで見つけた。「ピンクのバッタにばったり遭遇です」。直ちに捕獲して温室で飼育したというのだが、なにただ放したということらしい。
なぜピンクなのか。清水さんによると、バッタはもともと「緑」「茶」に加えて「ピンク」の色素も持っている。周囲の環境に合わせて、多くは緑や茶色になるが、何かの理由でピンクになることがある。いわば突然変異だ。自然界では1000分の1の確率なので、めったに見ることはできない。また、ピンクは目立つので、ほとんどは成虫になる前に鳥などに食べられてしまう。
10か月経った先月(7月)、板橋さんはバッタが増えていることに気づいた。いずれもピンクの子バッタだった。清水准教授は「国内では飼育した例はないので、大変珍しい」という。
取材した山本雪乃アナは「このクビキリギスという種類は珍しくて、冬眠もするんです。1年から2年生きるものもいる。一般的なバッタは2、3か月ですが」という。
でも、捕まえたのはメス1匹だけだった。それがどうやって繁殖した?
山本「今回は、繁殖の仕方が珍しいんです。オスと交尾せず、メスのみで子供を産む『単為生殖』で繁殖したとみられます」
単為生殖をする昆虫は珍しくないそうだ。
司会の羽鳥慎一「オスがいるかどうか、状況を判断するんだ」
千葉県立農業大学(東金市)では、このピンク色のバッタを含む昆虫展示会を開く。今月13日(月)と27日(月)の午後2時?3時30分、同大学の体育館で。オオクワガタ、ヘラクレスオオカブトなども展示する。