東京医科大に息子を裏口入学させた収賄事件で、起訴された元文部科学省の局長と大学理事長を仲介したブローカーの存在が明るみに出たが、「ビビット」はその密談の動かぬ証拠、生の音声を入手した。都内の高級飲食店で会合した際の2時間20分の音声記録だ。
会合には、当時、文科省官房長の佐野太被告(59)、東京医科大前理事長、臼井正彦被告(77)、2人を取り持ったブローカー谷口浩司被告(47)の3人がいた。やり取りは生々しい。
臼井は佐野の息子の受験結果を渡し、「あと5点、10点欲しかった」
佐野「申し訳ないです。よろしくお願いします」
臼井「来年は絶対大丈夫だと思います」
佐野「きちっと勉強して」
臼井「ぜひうちに予約しておいてください」
谷口「ははは、予約入学」
「要はどうやってだますかですよ」「ははは、それが一番」
私立大学の特色ある事業に補助金を出す「ブランディング事業」に、東京医大は2016年の応募で落ちており、2度目の応募の準備中だった。これをめぐるやりとりも露骨だ。
佐野は「正直申し上げると、前の応募内容は難しい状況だった」といい、「(応募の)書き方を指導するのは違反になる」とはじめはためらっていたが、次第に「世界の常識を取り入れる」「波及効果」など示唆し、「一番の殺し文句は、新しい学問の領域を作る。これが最終目的ですと」と入れ知恵している。さらに「要はどうやって騙すかですよ」とまで言った。
佐野「担当者を決め、指導させます」「私の名前を絶対に言わないでください。指導ができなくなる」
臼井「わかりました。名前は出してません」
佐野「いずれにしても、一番いいのをつけますから」
谷口「ははは、それが一番です」
佐野「この件は承りましたので」
最後に、臼井「会計は?」
谷口「ここは僕が、快気祝いを含めて」
臼井「次はお肉でも行きましょう。長続きしたいから」
佐野「きちっと今度は勉強して」
臼井「ぜひぜひうちへ」
佐野の息子は今年2月、東京医大に合格した。その前の昨年11月7日、東京医大のブランディング事業が認められた。直後の11月9日に息子はツイッターで、「俺ら、日本で一番幸せな浪人生。受験やめようかな」と書いている。12月28日には「センター試験前なのに、セブ島で何してる」とも書いていた。セブ島旅行には谷口が関わっていたという。