400万円の高度医療をたった8万円で! 悪質な外国人に食い物にされる日本の医療保険制度

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   日本の医療保険に外国人がただ乗りして治療を受けている――と聞いたら、保険料を払い続けている人は誰だって「え?」と思うはずだ。日本の保険制度に抜け穴があり、保険証を安く手に入れた中国人男性が約400万円の高度医療を約8万円で受けた事例もあるというから、もう仰天するしかない。

   番組では、外国人に超甘い保険制度の欠陥を問題提起している。私たちの保険料が食い物にされる事態は、あまりに深刻だ。

   今年(2018年)1月、60代の中国人女性が来日、約200万円かかる大腸がん治療を本人負担約2万円で受けた。「負担を大いに軽減できてうれしい。中国にいた時に保険料を払ったことはない」と言う。どうなっているのか。外国人は普通、日本の健康保険に入れない。それに治療費は原則自己負担のはずだが?

   しかし、仕事や留学目的で来日すれば保険に入れる。もう一つ、日本人の扶養家族には保険が適用される。

保険証の不正習得を指南するあっせん業者が暗躍

   この中国人女性は、娘が日本人と結婚したため、娘の夫の扶養家族となった。女性は「中国で年金によって十分に暮らしており、娘から援助を受けたことはない」というが、来日する1か月前に中国の病院でがんと診断された。そして娘から「日本なら保険で治療を受けることができる」と勧められたそうだ。「全部自己負担なら治療を受けなかったでしょう。治療が終われば中国に帰りたい」と話す。

   これでは、治療費を安くあげるために日本に来ただけのことではないか。わずかな保険料をその時だけ払った外国人を、長く保険料を払い続ける日本人が知らないうちに助けていることになる。娘は「中国の知人から日本の保険で高度な医療を受けられると聞いた」と打ち明けた。

   健康保険は、日本人の誰もが広く負担して互いに支えあう制度だ。外国人が治療のために一時的に来日し、安い負担で医療サービスを受けるための制度ではない。いわれのない負担を日本の加入者ががぶれば、保険の公平性が崩れ、制度不信も高まる。

   取材すると、こうした抜け穴を指南するウエブサイトが中国に多数あることが分かった。

   「30%だけ負担すればいい」「毎月9万円を超えた分は日本政府が出してくれる」「無料で医療を受けられる」といった誘いが並ぶ。

   保険証の不正習得をあっせんする業者もおり、「条件を満たせば、日本人と同じように保険を受けられる」「来日には他の(治療以外の)理由を言い、来日後に病気になったと言えばいい」と話す。「これを知るのは私たちだけ。日本人は知らない」とうそぶく業者もいる。ここまでくると、日本の制度につけ込んだ詐欺的な犯罪といっていいだろう。

留学名目で来日、入学翌日に入院する外国人患者たち

   年間2万人の外国人を治療する国立国際医療研究センターが今年初めて、保険で治療した患者の調査を行ったところ、少なくとも140人は保険証取得に疑問があった。

   日本語学校への留学名目で来日し中国人男性は、日本の保険証を取得して、入学から半年たたないうちに重度の腎臓病で手術を受けた。病院スタッフは「不自然で、初めから治療目的だったのではないかと思っても、目の前に患者がいれば治療します」と医療人として対応するほかないという。スタッフの1人は「日本人でも負担が大変で、治療をあきらめる人がいるのに」とやるせない気持ちを語った。

   留学名目で来日したが、入学翌日に入院した外国人が12人もおり、調べると住所が同じ2DKのアパートだった例もある。「こういう状態に疑問を感じる」と話すスタッフもいた。

   堀真奈美・東海大教授(公衆衛生学)は「全額自己負担なら問題ないが、不適切なケースが出た」と指摘する。国民健康保険の加入には滞日1年が必要とされていたのが、2012年から3か月に改められたことも引き金になったらしい。

   日本の医療費はずっと増え続けて年約42兆円。その40%が税金でまかなわれる。一方、来日外国人も増え続けており、その9.5%が日本の保険証を持つ。外国人治療が財政圧迫につながりかねない。そのうえで不正な抜け穴治療が横行すれば、まじめに保険料や税金を払い続ける日本人がバカを見続けることになる。

   厚生労働省が聴取しても、本人が「医療目的ではない」と主張し、留学などの形式を整えれば、それ以上は追究できない。そこにまた悪質業者が介在し、安さを求めて制度を悪用する外国人が後を絶たない。

   厚労省の担当者は「どうするべきか。将来的には議論があっておかしくない」と、やる気も現実感もない反応だ。

   韓国で2年前に結核の治療を無料化したところ、海外からどっと患者が入り込んで問題になった。イギリスでは3年前から「ヘルスチャージ」として外国人に一律3万円の支払いを義務付けた。堀教授は「客観的事実に基づいた議論が必要で、まずは実態把握をするべきです」という。

   しかし、制度の不備や欠陥がすでにわかっているのだから、実態把握より前にまずは食い物にされている制度そのものを改善すべきだ。議論はそのあとだ。そうでなければ納税者・保険料負担者がとうてい納得できないほど、ひどい悪用状態が続く。入国管理局、自治体、医療機関、もちろん厚労省が前面に出て、適切な対応をすぐにとってもらいたい。

   ※NHKクローズアップ現代+(2018年7月23日放送「日本の保険証が狙われる~外国人急増の陰で~」)

    あっちゃん

姉妹サイト