タイの洞窟に閉じ込められた子供たち13人に関する映像を流していたあさ8時41分(2018年7月6日)、速報テロップが流れた。「法務省はオウム真理教の一連の事件の首謀者・麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚ら複数の死刑囚の死刑執行の手続きを始めた」
「スッキリ」はすぐに番組内容を変更し、報道フロアから「緊急特番」のように取り上げた。広島拘置所に移送された中川智正死刑囚、福岡拘置所に移送されていた早川紀代秀死刑囚の死刑も執行されたという速報も入ってくる。
社会部デスク・下川奈美は「1か所にいた13人の死刑囚が各地の拘置所に分散させられたのは、死刑の同時執行のためだったのではないでしょうか。刑事訴訟法では、同じ事件での死刑囚に差をつけてはならない原則があります」と解説する。
警視庁の記者クラブからは、警察当局は松本死刑囚がまだ影響力を持つとされる後継団体「ひかりの輪」「アレフ」らの集団への警戒を強めており、公安調査庁もこれら団体の全国34拠点に立ち入り調査に入る方針だと伝える。
速報テロップも他局より5分も先行く
驚くのは、速報の前から日本テレビが万全の取材・特報態勢を敷いていたことだ。東京拘置所前、広島拘置所前、後継3団体の本部前などにリポーターを配置し、報道フロアで紹介されるフリップやVTRも多数準備されていた。中川死刑囚と10回以上面会したという毒物学者・アンソニー・トゥー教授のインタビュー映像まである。
日テレはきょう死刑が執行されることをつかんでいたのか。埼玉県八潮市の「アレフ」本部前のリポーターは、「私は7時過ぎにアレフ前に来ておりますが、人の出入りはなく、中に人がいるかどうかもわからない」としゃべっている。執行の速報テロップは8時41分だったから、その1時間半以上も前に埼玉県までリポーターを行かせていたことになる。他のリポーターたちも「報道陣も集まり始めています」と、早くから待機していたことをうかがわせた。執行の速報も他局に比べると5分近くも早かった。
NHKも死刑執行に立ち会うと見られる検察官が東京拘置所に入っていく朝7時の映像をとっており、執行の情報は一部のメディアに事前に流れていたようだ。