「バカボンのパパ」「おそ松くん」「ひみつのアッコちゃん」で知られる漫画家・赤塚不二夫の物語である。娘の赤塚えり子が書いた原作を元に、小松江里子が脚本を手掛ける。赤塚の描くハチャメチャな漫画より、実生活はもっとハチャメチャだっというもので、そのハチャメチャぶりが見どころとなっている。
主人公・赤塚不二夫を演じるのは玉山鉄二。女性にダラしなく、夫や父親としてはダメダメだけど、愛すべき存在―という赤塚のチャーミングなところが出ているかというと、微妙だ。玉山はこういう軽いタッチのものより、眉間に皺を寄せて深刻ぶった役のほうが似合う。無理してハジけた感じは、ダイハツ工業「ウエイク」のCMの「にいちゃん」にもカブリ、ちょっと力み過ぎではと思う。赤塚にしてはイケメンという点も気になる。
ファンには嬉しいウナギイヌ誕生秘話
2番目の妻・真知子を比嘉愛未、最初の妻でりえ子の母・登茂子を長谷川京子、赤塚のひとり娘・りえ子を森川葵が演じている。担当編集者・横井隆は浅香航大、赤塚が通うスナックの潤子ママは草笛光子だ。アシスタントには駿河太郎、マギーら個性派揃いである。
ドラマの案内人は松尾スズキがつとめる。比嘉も長谷川もスラッとした長身美人なのは、赤塚の好みなのだろうか。そういえば、バカボンのママもスラッとしている。
土用丑の日なのに、仕事が忙しくてうなぎも食べられないと窓の外を見ていた赤塚が、「犬もうなぎに見える」と言い出したところから、ウナギイヌを思いついたというキャラ誕生のエピソードなど、漫画ファンには嬉しいエピソードも入れながら、ドラマは進んでいく。