サッカーW杯ロシア大会での日本の挑戦は終わった。決勝トーナメント1回戦、強敵ベルギーを相手に、日本は2点をリードしながら、最後の最後に逆転負けを喫した。悲願のベスト8はならなかったが、選手たちは燃焼し尽くした。長友佑都選手の「笑顔で胸張って帰ります」という言葉が爽やかだった。
3日(2018年7月)午前3時、ロストフ・ナ・ドヌでのキックオフは、緊張感がいっぱいだった。ベルギーは世界ランク3位。「赤い悪魔」の異名がある。対する日本は61位。チームワークがどこまで通用するか、不安があった。
長谷部「先行しながら逆転負けは、自分たちの力不足」
しかし、日本は素晴らしい滑り出しを見せた。相手のスター選手をほぼ完璧に封じ込め、前半を0-0で乗り切った。そして後半3分、カウンターで突っ込んだ原口元気のシュートが決まった。さらに4分後、乾貴士の無回転のミドルシュートが、絵のようにゴールに吸い込まれた。
ベルギーは猛反撃に転じた。ひやりとする場面が続くが、吉田麻也、長谷部誠、長友らが、敵のエースを巧みに押さえ込んだ。ベルギーは20分、2メートル近い長身の選手を投入、空中戦の意図を見せる。24分、川島永嗣のパンチングが弱く、これをベルギーが高々とヘディングでセンタリングしたのに川島が追いつけず、そのままゴール。「またか」とDFは呆然。
さらに29分、コーナーキックを長身の選手に決められて同点。その後もベルギーは、再三日本ゴールを襲ったが、川島のスーパー・セーブやDFの壁で防ぐ場面が続いた。特に巨漢で危険なFWルカクにシュートをさせなかったのは大きかった。
そして後半のアディショナルタイムの49分、本田圭佑が加わってコーナーキックを入れたが、これをとったGKが素早くカウンター。日本DFは戻りきれずに逆転の3点目を献上してしまった。あと何秒かで延長に入るという、あっという間の展開だった。
躍り上がるベルギーの選手たちを前に、倒れたままの原口ら何人か。無念の表情の香川真司、長友......西野朗監督。
西野監督は、「W杯の怖いところ。追い詰めたと思ったのだが、何が足りなかったんでしょう。この壁は厚いのかもしれない」といった。
選手たちのコメントも苦い。キャプテンの長谷部「先行しながら逆転負けは、自分たちの力不足。試合運びに甘さがあった」。本田「3回目のW杯が終わった。次の世代にバトンを渡す」。香川「これがサッカー。やっぱり個の差が最後に出た。壁が大きいと、実感します」。長友「自分たちの全てを出したので、悔いはない。胸を張って帰ります」
MCの国分太一「西野さんも、(交代など)難しかったと思う」
解説の堀尾正明「それを見事なチームに仕上げた」
国分「予選で9点取ったベルギーを、前半ゼロに抑えた」
サッカー解説の前園真聖さん「後半の得点が素晴らしい」
国分「原口選手はちょっとキーパーのタイミングをずらした。2点目の乾選手のゴールは、今大会のベスト・ゴールになるかもしれない」
前園「そう。無回転でね」
真矢ミキ「何メートルくらいあるんです?」
前園「20メートルとか30メートルとか」
元イングランド代表のリネカーさんも驚いたらしい。「乾のゴールはすごい。イングランドが相手でなくてよかった」と言ったそうだ。また、ベルギーのマルティネス監督は、「日本を祝福しよう。彼らは完璧な試合を演じた」と言っていた。
日本中を熱狂させた「サムライのロシア」は終わった。今日は寝不足も取り戻せそうだ。