アメリカのトランプ大統領は国防総省に宇宙軍の創設を指示した。「アメリカを守るためには宇宙空間にアメリカの存在感があるだけでは十分と言えない。宇宙を支配しなければならない」という。これまでにも「われわれは空、海、陸、宇宙を支配する」「宇宙空間は陸、海、空と同じく戦闘領域だ」などと語ってきた。
実は、アメリカには過去に宇宙軍があった。冷戦時代末期の1985年9月~2002年10月にアメリカ宇宙軍を設立し、弾道ミサイルの早期警戒や軍用衛星の運用、サイバー戦への対応などを任務としていた。
月面開発では大きく遅れ
アメリカ宇宙軍は冷戦終了とともに廃止されたが、トランプが再び創設を言い出した背景には何があるのか。「宇宙において中国やロシアにリードを許してはいけない」(トランプ)という危機感だ。
ロシアは15年に「ロシア航空宇宙軍」、中国も「人民解放軍ロケット軍」を創設して宇宙の主導権を目指している。なかでもトランプが意識しているのは、中国の月をめぐる主導権争いという。中国は今年末、前人未到の月の裏側にロケットを打ち上げる計画で、成功すればメリットも大きい。
大阪大大学院理学研究科の佐伯和人准教授は、「月面の採掘が有利になるほか、国際的な宇宙開発のリーダー国になれます。月開発ではアメリカより中国が数歩先を行っている状況です」と指摘する。
日本の宇宙開発で大きく遅れをとっている。司会の小倉智昭は「日本の宇宙飛行士は、ロシアのロケットで行って帰ってきていますからねえ」
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト