社員が友人・知人をスカウトする「ツテ転職」
新しい採用方式も出始めた。キーワードは社員の「ツテ」だ。「リファラル(紹介)採用」ともいう。社員が転職しそうな友人や知人と会社をつなぐ。「社内をよく知る社員が人を紹介するので効率的です」と人事担当者はいう。
食品メーカーに勤めて4年になる池嶋真吾さん(28)は、求める働き方ができずに悩んでいるときに、友人から転職話を持ち込まれた。会社に招待され、食事をしてアピールされた。いまは即戦力として、経理の経験を生かして主力商品の会計ソフトを扱って、売り上げ増に貢献しているという。
人事担当者は「1人の採用で2人とれるわけで、大きな可能性があります。これからも柱にしていきたい」と意欲的だ。常見さんは「転職潜在層に社員を通じてアプローチすることで、人材会社に手数料を払うよりコストを安くできる。ただし、同じレベルの人しか集まらない面がある」と解説する。
原田さんは「内定した直後から転職先を探し始める人もいる。昭和のような終身雇用感覚は若い人にはない」と、時代の変化を強調する。
では、新卒一括採用もなくなるのか。常見さんはなくならないと見ている。「さまざまな手段を組み合わせることになるだろう。経営者も変わらないと」
企業と若者のニーズをどうセットして、ジャストマッチングに持っていくか。少子化で若者が減る時代の試行錯誤は始まったばかりだ。
*NHKクローズアップ現代+(2018年6月11日放送「"逆求人"に"ツテ転職"!?激変する人材争奪戦」)
文
あっちゃん