京都の定番土産である八ツ橋の由来や創業年をめぐって、業界大手の老舗同士が裁判で争う事態となっている。訴えを起こしたのは井筒八ツ橋本舗で、「うその創業年表記によって損害を受けた」として、聖護院八ツ橋総本店に対して表記差し止めと損害賠償600万円の支払いを求めている。
おととい4日(2018年6月)、会見した井筒八ツ橋本舗のオーナー津田佐兵衛さん(94)は「うそは泥棒のはじまり。大変な迷惑を被ります」と怒りをあらわにした。
江戸期「文化二年」と「元禄二年」の争い
井筒八ツ橋本舗側が問題としているのは、聖護院八ツ橋総本店の創業年だ。井筒八ツ橋本舗ののれんには「文化二年」(1805年)、聖護院八ツ橋総本店ののれんには「元禄二年」(1689年)とある。つまり、聖護院八ツ橋総本店の方が古いのだが、「1689年に創業されたという具体的な証拠はない。間接的な誤認を生じさせる」と井筒八ツ橋本舗側の弁護士は言う。
焼き八ツ橋の起源をめぐっては、「江戸時代の琴の名手をしのんで琴の形に作られた」とか、「川で亡くなった子どもの供養に8つの橋を架けたことを広めるため」など諸説あり、発祥は不明とされている。
同志社女子大学の天野太郎教授も「創業年は公的な資料に載っていないことが多く、証明は難しい」と話す。
文
キャンディ| 似顔絵 池田マコト