富山県南砺市の東海北陸自動車道で観光バスが突然、右に左に蛇行を始め、対向路線をはみ出し、センターポールをなぎ倒し、橋の欄干にぶつかった。「この世の終わりと思った」「橋から落ちたら即死だった」
誰もがそう思ったとき、一番前に乗っていた乗客が倒れていた運転手に代わりハンドル握り、2キロ先にようやく止めた。乗客たちは打撲などの軽傷を負っただけで、まさに九死に一生だった。おととい3日(2018年6月)白昼の事故だった。
下り坂の暴走を必死で食い止めた乗客の機転
ハンドルをとった乗客によると、「運転手はすごいイビキをかいて、意識がなかった。これは大変だ」とハンドル操作をした。ところが下り坂のため、どんどんスピードが出る。2人、3人目の乗客も手助けし、運転手の足の下にあったブレーキをようやく押さえた。
観光バスは岐阜県の信用金庫の客を乗せ石川県の和倉温泉に向かっていた。バスの運転手(54)はくも膜下出血で意識不明の重体という。おとといまで12日連続勤務だったが、バス会社によると「出発前の点呼でも体調に異常はなく、労働時間も規定範囲内だった」という。
バス業界の現状はどうなのか。国土交通省によると「人手不足・高齢化(平均年齢50歳)」「低賃金(全産業平均年収より80万円低い)・長時間労働(全産業平均労働時間より年間400時間長い)」「バス免許の取得が難しい」と悪条件が多いため離職率が高い。入社4年以内に48%がやめていく。
司会の羽鳥慎一「大変な数字ですね」
玉川徹(テレビ朝日解説委員)「もともとの原因は運転手不足です。運転手が足りないと長時間労働に。長時間になると人がなかなか来ない悪循環なんです」
青木理(ジャーナリスト)「これからオリンピックもあり、外国人による観光を柱にしたいと言っているのだから、ますます必要な職種なのに」