パリ18区のアパルトマンのベランダからぶら下がった子供を助けたアフリカからの難民青年が、「パリに現れたスパイダーマン!」と賞賛されている。ベランダ伝いに高層階まで登っていく姿がネットで流れて、もう英雄だ。おまけに新しい人生も手にした。ほっこりするお話。
大統領が「消防士にならないか」と破格の扱い
「スッキリ」がトップニュースで伝えたものすごい映像。28日(現地時間2018年5月)のことだ。ビルの5階のベランダから子供がぶら下がっている。隣人が手すり越しに手を差し伸べるが、引っ張り上げられない。すると、1人の男が、ベランダのフェンスを伝って登り始めた。2階、3階。4階......まるでターザン(はちょっと古いか)。見守る人たちも声援を送る。男はついに5階に達して、片手で子供を引っ張り上げた。もう大歓声だ。
この映像は、SNSで一気に広がり大反響。「真のヒーローだ」「まるでスパイダーマンだ」。スパイダーマンは、西アフリカのマリから昨年(2017年)やってきた移民のマムドウ・ガサマさん(22)だった。
「子供が好きで、あの子が怪我をするのが見たくなかったので。幸いにも、建物を伝ってバルコニーまでたどり着けた」という。
実は彼、船で地中海を渡って、イタリアに上陸し、さらに歩いてフランスに入ったのだったが、現在はビザが切れた不法滞在状態だった。見つかれば強制送還となりかねなかったのだが、「スパイダーマン」で人生が変わった。
パリのアンヌ・イダルゴ市長はツイッターで、「18区のスパイダーマン」と呼んで、勇気ある行動を称えた。「パリで人生を築くことを夢見てアフリカのマリからやってきた。彼の英雄的行為は全ての市民の模範です。彼がフランスで定住しようとする努力を、パリ市民は喜んで支援します」
まだ続きがあった。マクロン大統領から大統領府エリゼ宮に呼ばれ、大統領直々に「消防士の仕事に就かないか」と言われたのだ。「消防隊は町の人々を守るヒーロー。あなたのような勇気と能力のある方を隊員として迎えられるのは光栄だ」。ガサマさんも即座に応じた。
大統領はさらに、ガサマさんにフランス国籍まで与えた。フランス国籍の取得は、5年間住んでいるなど厳しい条件がある。近年一層厳しくなっていて、昨年は5人だけだったというから、これは破格の扱いになる。
映像を見てキャスターの加藤浩次「身体能力だけでなく勇気も必要だ」
ウェンツ瑛士(タレント)「冷静さもある。でも、本当に消防士になりたかったのかな。大統領に言われたら断れない」(笑)
ロバート・キャンベル(元東大教授)「アフリカ系に対しては、アメリカもそうだが、フランスでも長いこと、凶暴だとか怖いものだと扱われてきた。大統領と向き合っているエリゼ宮のシーンに感動した」
加藤「幼児を放っておいたというのもある」
キャンベル「幼児の母親はパリを離れていて、父親は買い物に出て、ポケモンGOで道草を食っていたのだという。あから父親は養育義務放棄で逮捕された。18区はいい住宅街で、何をやっているんだと、父親への批判が集まった」
ヤンヤン