アメリカンフットボールの危険タックル問題で、関西学院大の選手を負傷させた日本大の宮川泰介選手(20)がきのう22日(2018年5月)、東京都内で記者会見を開き、謝罪するとともに、タックルは監督とコーチから指示されたことを明らかにした。
日大の内田正人監督や井上奨コーチから、「相手のクオーターバック(QB)を1プレー目で潰せば出してやる」「やらなきゃ意味ないよ」「QBがけがをして秋の試合に出られなかったらこっちの得だろう」「できませんじゃ済まされないぞ」などと再三言われた宮川選手は、心理的に追い詰められ、危険なタックルに及んだ。
大泣きを撮影した元スポーツ部記者「彼は第二の犠牲者」
東京大アメフト部の森清之ヘッドコーチは、「非常に具体的で真実を語っていると感じました。そこまで追い詰められたことこそがこの問題の本質だと思います」と語った。「アライン(守備位置)はどこでもいいから潰してこい」という指示があったことについては、「野球でいえば一塁手に外野にいてもいいよと言っているようなもの。フットボールなら試合中にこんな指示が出ることはあり得ません」と断言した。
このような状況から、宮川選手が「潰せ」という言葉を「ケガをさせろ」という意味にとったことに理解を示し、「追い詰められて錯乱状態にならない限り、やらないようなプレーでした」と解説した。
退場処分となった後、宮川選手は「大変なことをしてしまった」という思いからテント内で泣いていた。しかし、これも井上コーチからは「優しすぎるところがダメなんだ」と責められたという。
宮川選手が泣いていた様子を撮影し、きのうの会見にも出席した朝日新聞社のスポーツ部の篠原大輔・元記者は、「取返しのつかないことをしてしまったという気持ちにさいなまれた涙だったんだなと思いました。彼は第二の被害者だと思いました」と振り返った。
「フィールドで起きたことはすべて大学と監督の責任」
評論家の宮崎哲弥「大学というのは教育機関なのに、もしこれが事実なら、犯罪的な行為を強要したということになります。文部科学省は問題にすべきです」
森コーチ「フィールドで起きたことは、仮に選手が勝手にやったことであっても監督の責任。監督や大学は、まず宮川選手を守ってあげるべきだったと思います」