「嵐」の二宮和也が主演するTBS日曜劇場「ブラックペアン」について、医療現場の描き方が「あり得ないシーンが多すぎる」という抗議が医療団体から相次いでいる。
21日(2018年5月)には日本医療機器産業連合会もホームページ上で「医療機器治験の実際について」という声明を発表、「現実と大きくかけ離れる描写があり、大変な病と闘っている患者の不信感をあおる心配がある」と指摘した。
「大変な病と闘っている患者の不信感をあおる」
ドラマは、二宮扮する大学病院の天才外科医が、加藤綾子が演じる治験コーディネーターの協力を得て、医療界の不正を暴いていく物語。治験コーディネーターとは、新薬を開発するための臨床試験に当たって医師の指示で患者をサポートする仕事だ。ところが、仕事で医師を接待したりするシーンなどがあり、初回放送後から治験関係者らの間で、「本来のコーディネーターとは違う」「患者らの誤解を生む」とする批判の声がツイッター上で相次いだ。
こうした声を受け、日本臨床薬理学会は5月7日、「本来の業務とはかけ離れており、コーディネーターを侮辱するものだ」として、TBSの社長と番組に抗議する見解書を送った。見解書では、「製薬会社と契約したり医師を接待したりする治験コーディネーターはいない。患者の負担軽減費が300万円は高すぎで、実際は患者を誘導しないよう1回7000~8000円ほどだ。スーツを着ては仕事ができない」とドラマの問題点を挙げた。
TBSの広報部は5月10日、J-CASTニュースの取材に対し、「日本臨床薬理学会からは見解書をいただきました。現在検討しております」とコメントした。番組の公式サイトでは、ドラマの演出上、本来の業務とは異なるものも含まれていると説明、治験については、「実際には定められた基準の中で、患者や病院側に支払われます」と注意書きを付けている。
薬理学会に続く、日本医療機器産業連合会の声明では、「ドラマのように、本人の同意が得られていない状態で治験を行なうことなどありませんし、あってはなりません。また多額の負担軽減費を支払うような行為、物品による誘引や、社会的地位を利用した圧力による行為は、被験者に対する社会的弱者の保護という観点からもあってはならない重大な問題です」と厳しく批判した。(テレビウォッチ編集部)