ノーベル文学賞の発表が見送られるという異例の事態になっている。
ことの発端は性的暴行疑惑だ。昨年(2017年)11月、18人の女性がスウェーデンの写真家、ジャンクロード・アルノー氏(71)に性的暴行を受けたと現地メディアに告発。アルノー氏の妻は詩人のフロステンソン氏(65)で、文学賞を選考する「スウェーデン・アカデミー」の会員だ。
アルノー氏は妻の権力を利用し、アカデミー会員にセクハラを行っていた疑惑がもたれている。さらに、妻から得た受賞者の情報を事前に漏えいした疑いもある。アカデミーは信頼回復のための時間が必要として、来年まとめて2人発表することを発表した。
村上春樹氏の受賞には有利な展開?
118年の歴史の中でも最大の危機と言われるこの事態に、有力候補と言われる村上春樹氏のファン"ハルキスト"たちは「残念です」と口をそろえる。
しかし、村上春樹氏を研究する作家のナカムラクニオさんは、「今年は発表がない方がむしろ嬉しいかも。ますます期待が高まり楽しみです」とコメント。
去年(2017年)の受賞者は日系イギリス人のカズオ・イシグロ氏だから、2年連続で日本出身者は難しいのではないかと分析する。さらに、今回の事態でついてしまった文学賞に対する悪いイメージを払しょくするために、世界50か国で翻訳され、知名度も高い村上氏の作品が選ばれる可能性が高まるのでは、と期待する。
日本では「セクハラ罪はない」と大臣が発言する恥ずかしさ
この話題に、コメンテーターの玉川徹氏が「このニュースってそういう話なのかな? むしろセクハラが世界でこれほど重く受け止められているという話だと思う」と違和感を口にした。
玉川「日本では財務省がセクハラを認めたのに、財務大臣が『セクハラ罪という罪はない』と言ってのける。日本人が受賞するかどうかより、そういう彼我の差を、このニュースから感じます」
石原良純「アカデミーは終身会員だから権力の淀みですよね。セクハラでありパワハラでもある。今までは表に出てこなかった問題が出てくる時代になった」 住田裕子(弁護士)「セクハラは大きな問題ですが、この騒ぎはアカデミー内の足の引っ張り合いにも見えます」
石原「しょせんそんな人たちが決めていた賞かという話になっちゃう」 玉川「重みにも関わります。村上春樹ファンの人はもちろん受賞してほしいのだろうけど、そういう問題ではない」