元受刑者に働く場所提供「職親プロジェクト」職があって収入があって家があれば再犯ない
顔と名前を出して、取材に応じた元受刑者がいた。大阪のお好み焼きチェーン「千房」で働く若松慎史さんは、窃盗で1年5か月服役した後、昨年12月から働き始め、今月、アルバイトから社員になった。「千房」は全国60店舗で9人の元受刑者が働いている。9年前、社長が再犯率を下げるための受け皿を提供したからだ。個室のある社員寮、新しい洋服、日用品、一律の給与・昇級。ただし、本人の同意の上で過去の経歴をオープンにする。他の従業員と分け隔てなくするためだ。
若松さんは「気持ちが楽になって、やりやすかったです。いま、(社員になって)信頼されていると感じがしてます」という。平尾には「罪を償って、社会復帰してほしい。絶対に可能です」と言った。
これが全国の建設、農畜産、飲食、介護など102社が参加する「職親プロジェクト」を生んだ。いま157人の元受刑者が働いている。斎藤さんは「驚きました。これまで300人くらいを取材しましたが、顔はダメ、名前も仮名、年齢すらダメでした。(若松さんは)相当な自信があるということなんでしょう。こういう受け皿が広がってほしいですね」と話した。
沢登教授もいう。「われわれが何をできるかです。職があって収入があって家があれば、再犯の必要はないんですから」という。今回の逃走劇で、「塀のない刑務所」への風当たりは厳しい。でも、人間の知恵と進歩を信じたい。
*NHKクローズアップ現代+(2018年4月19日放送「受刑者逃走!塀の無い刑務所の実態」)