5日(2018年4月)、中国の高速鉄道の車内で、「バカヤロ」「しょうがないのよ~」と日本語でまくしたてる乗客の女性がライブ配信された。この様子は上海のテレビニュースでも報じられたが、よく聞くと、この女性の日本語はカタコトだ。一体なぜ?
ことの成り行きはこうだ。
女性は車内でライブ配信を開始。実況の声が大きかったため、ほかの乗客が注意すると女性が激怒し騒ぎ出した。乗務員と鉄道警察が出てくると、「かかってこい」「訴えてやる!殺すぞ!」とかんしゃくを起したと思えば、突然歌い出したり、踊ったり......。終点の大連に着くまで4、5時間騒ぎ続けた。その中で、日本語でまくしたてる部分もあった。
ネットスターに過剰にお金を払うファンが社会問題化
しかし、この女性は単に日本人を装ったわけではないようだ。背景には中国の加熱するライブ配信ビジネスがあると見られている。
中国では2017年時点でライブ配信ユーザーは約4億2200万人。3年ほど前からインターネットスターを表す「網紅(ワンホン)」という言葉が流行しており、トップは年収5億円以上とも言われている。
高額の年収の裏には中国の独特の課金システムがある。お金を払えばネットスターの連絡先を教えてもらえるという、いわば「おひねりシステム」だ。そのため、ネットスターに過剰にお金をつぎ込みすぎるファンが社会問題化しているというのだ。
この女性が起こしたトラブルも、とにかく多くの人に見てもらい、ファンを獲得するための茶番劇だったと見られている。
菅野朋子(弁護士)「このシステムだと犯罪の温床になる可能性もありますね」
野上慎平(アナウンサー)「詐欺の被害も出ているようです」
青木理(ジャーナリスト)「日本でも学生がコンビニの冷蔵庫に潜り込むとかありましたね。中国の場合、問題の規模がもっと大きいんだろうな」